毎日午前7時にブログ更新

『経方方証縦横』に学ぶ桂枝二越婢一湯の注家方論と医案

漢方医学

『経方方証縦横』に基づき、「桂枝二越婢一湯」の「注家方論」と「医案選録」について解説する。

注家方論(歴代の注釈家による考察)

この項目では、8名の医家による解釈が紹介されており、処方の構成意図(特に大青龍湯や桂枝麻黄各半湯との関係)や「無陽」という病機、石膏を加える意味について多角的に考察されている。

  • 成無己(『注解傷寒論』):「越婢」とは脾気を発越させて津液を通行させるという意味であると説明している(『外台秘要方』では「越脾湯」と呼ばれているとも指摘している)。
  • 方有執(『傷寒論条弁』)・呉謙(『医宗金鑑』):本方は大青龍湯から杏仁を取り去り、芍薬に替えた変法(変制)であると分析している。発汗させないと言いつつも、石膏と麻黄の組み合わせによってわずかに発汗させる(微汗)意図が含まれていると解説している。また呉謙は、表の寒邪が少なく肌裏の熱が多いため、石膏の涼性を用いて麻黄と桂枝を補佐し、営衛を調和するのだと詳述している。
  • 柯韻伯(『傷寒附翼』):涼解表裏の剤であると評価しつつも、脈弱・無陽の証(陽気が虚した証)には用いてはならないと注意を促している。
  • 許宏(『金鏡内台方議』):桂枝麻黄各半湯から発汗させる杏仁を取り去り、虚熱を去る石膏を加えた処方であると簡潔に説明している。
  • 張璐(『傷寒缵論』):胃熱で津液がなく汗が作れない状態であるため、大青龍湯から下気・走表する杏仁を去り、辛涼で熱を化す石膏を加えたのだと解釈している。
  • 尤在経(『傷寒貫珠集』):陽気がなく津液が不足しており、桂枝の辛温に耐えられないため、甘寒の薬(石膏)を内に加えて辛温の性質を和らげ、津液を滋養する働きを持たせていると解説している。
  • 陳修園(『長沙方歌括』):処方の分量が非常に軽く、邪気が軽浅な者のために設けられたものであると述べている。「無陽にして発汗すべからず」とは、陽邪が盛んではないため麻黄湯などで強く発汗させてはならず、本方で営衛を清疏し、じんわりとした汗(微似汗)をかかせて解するのだと説明している。

医案選録

この項目では、寒熱の入り交じった長引く症状や、風熱・風寒の邪に対して本方を応用した3つの臨床例が紹介されている。

  • 兪長栄の医案(冷水に触れた後の悪寒発熱)
  • 20歳の女性。冷水に触れた後、頭痛、悪寒発熱(熱が多く寒が少ない)、咳嗽などを発症した。太陽傷寒の証に秋の燥気が内に伏していると診断され、桂枝二越婢一湯と麻杏石甘湯を併用して散寒・清熱を行ったところ、1剤で治癒した。
  • 劉渡舟の医案(長引く陣発性の悪寒発熱)
  • 10歳の女児。深秋に寒涼の気を感じて悪寒発熱が日に何度も起こり、数ヶ月間治らなかった。風寒が表に鬱して長引き、寒が熱に化そうとしている「軽証」と診断され、本方を与えたところ、2剤で微汗をかいて治癒した。
  • 『仲景方臨床応用指導』の医案(頻繁に繰り返す感冒)
  • 54歳の女性。頻繁に感冒を繰り返し、微熱、悪寒、頭痛、口渇、大便乾燥などが見られた。風熱が表を襲い、衛熱が営を灼いていると弁証し、本方の加味方(連翹、薄荷などを追加)を用いたところ、3剤で症状が完全に消え、その後半年間にわたり再発しなくなった。

YouTubeもやってます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました