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瀉方五首その2泻心汤

誤下 漢方医学

最初に条文を挙げる。

救误用清下,其人阳气素实,外邪乘虚陷入,致心下痞满,食不下,利反不止,雷鸣腹痛方:

黄连黄芩人参甘草炙乾姜各三两

右方五味,以水七升,煮取三升,温分再服

意訳

誤下した状態を救う。元々陽気が実していて、外邪が虚に乗じて陥入、心下に至って痞満。食べ物が下に降りず、下痢は反って富まず。お腹は鳴り痛む者を治す。まあ、字面で追えばその通りなのだけど、もう少し掘り下げる。

傷寒論359条の乾姜黄芩黄連湯証に近い。甘草を加えると瀉心湯となる。経方医学6 江部洋一郎著 東洋医学出版社 p146-)を参考に治方を検討する。

傷寒論359 傷寒本自寒下,医復吐下之,寒格,更逆吐下,若食入口即吐,乾姜黄芩黄連人参湯主之。

 乾姜黄芩黄連湯証の条文を見直す。瀉心湯と比較して相違がある。寒格なる用語も理解困難だ。経方医学では寒格の説明として、胸膈と胃の間にあたかも垣根があるごとく、寒熱は相容れずお互い拒み合って分断され、上熱下寒となる(状態)(経方医学6 江部洋一郎著 東洋医学出版社 p147)とある。しかし私にはこれが瀉心湯でいうところどの部分か見当も付かないばかりか、何を言っているか不明だ。師匠に訊きたかった。

 やむを得ず他の注釈を開く。傷寒雑病論字词句大辞典(大付編著 学苑出版社p284)では「邪熱与寒邪相格拒的病理」とし、本条文を挙げ、「胃熱与脾寒相格拒」であるとしている。現時点での経方医学での解釈は胃熱鼓舞した状態と、脾寒が分離した状態にあるのだと解釈した。一般的に病邪が体内に侵入すると、胃熱が健気に鼓舞される。しかしその強い胃熱のために症状が出たりむしろ悪化したりもするものだ。

  寒格はあくまでも乾姜黄芩黄連湯証のことである。ただ、この思考過程で理解出来たのは、「其人阳气素实」。この一文は充分に胃気があり場合によってはちゃんと胃気の鼓舞ができる状態であることを意味していると解釈できた。「外邪乘虚陷入」は肌から侵入して心下に至ったのだろう(致心下痞满)。これは傷寒論131条結胸証についての経方医学の解説文にある通り、肌に邪があるのを誤下すると内陥しながら化熱して痞を作る(経方医学1江部洋一郎 東洋医学出版社 p28)(経方医学6 江部洋一郎 東洋医学出版社 p147)。胃は鼓舞されて上逆して嘔吐。本来解表させるべきところを、誤下してしまって、下痢が止まらない。絡不通となり、陽虚となりついには阻絡して腹痛が出現する。

治方

化熱した膈を黄連、黄芩で清する。膈より下は裏寒であり、人参甘草で守胃して乾姜で温補する。

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