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【輔行訣】大白虎湯を経方医学で読む

漢方医学

大白虎湯の配薬をみると傷寒論の竹葉石膏湯から人参を去り、生姜を加えた方剤であると連想してしまう。

しかし、実際には後述の通り一筋縄にいはいかない。

まずは条文を挙げる。

大白虎湯

治天行熱病,心中煩熱,時自汗出,舌乾,渴欲飲水,時呷嗽不已,久不解者方:

石膏如鶏子大一枚,打麦門冬半升,甘草炙,二兩粳米六合,半夏半升生姜二兩,切 竹葉三大握

右方七味,以水一斗二升,先煮粳米,米熟訖去米。納諸藥,煮至六升,去滓,溫服二升,日三服。

次に意訳。以下のような人を治す。

天行熱病

外感病の熱症状

心中煩熱

心中が熱で煩悶する

時自汗出

時に自ら汗が出でる

舌乾

舌は乾く

渴欲飲水

喉が渇いて水分を摂りたい

時呷嗽不已

時にひどい咳が止まらない

久不解

上記のような症状がなかなか治らない。

ここから解説。

大白虎湯加人参去生姜が竹葉石膏湯となる、と連想してしまう。

竹葉石膏湯は傷寒論条文397条で、

傷寒解後,虚羸少気,気逆欲吐,竹葉石膏湯主之

である。

 経方医学6p126に条文解説がある。

 竹葉石膏湯は陽明実熱証が治った後、胃熱に余熱(虚熱)が残存しているため諸症状が起きる状態を治す。

 胃熱を直接清熱する石膏の配薬量において大白虎湯は小白虎湯と同様で鶏卵大だから80g(経方医学5p190)、一方竹葉石膏湯は一斤は大凡250g(経方医学5p188)である。因みに陽明実熱証の入り口である白虎湯は一斤である。よって、大白虎湯は胃熱は傷寒論のそれより胃熱の度合いはだいぶ少なめであるといえよう。

 病機に関しては白虎湯ほどではない胃熱の強さを前提とした陽明実熱証の一形態と愚考する。即ち、守胃できず胃熱が鼓舞され、カラカラに口渇、胃気が心下を通って肌に及んで時に発汗。胸に及んで熱を帯び、煩悶。肺陰を灼き咳嗽する。

 経方医学6p127に大白虎湯と比較した処方解説が掲載されている。少し方意を参考にさせてもらった。

 竹葉石膏で清熱除煩し甘草、麦門冬、粳米で守胃と益気生津する。肺も滋陰する。半夏生姜で胃気を降ろし気逆による咳嗽を治す。

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