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大補脾湯の病機

漢方医学

大补脾汤

治脾气大疲,饮食不化,呕吐下利,其人枯瘦如柴,立不可动转,口中苦乾渴,汗出,气急,脉微而时結者方:

人参甘草炙乾姜三两术麦门冬五味子旋覆花一方作牡丹皮,当从,各一两

右七味,以水一斗煮取四升,温分四服,日三夜一服。

脾气大疲

猛烈な脾虚

饮食不化

飲食がちゃんと消化吸収できない

呕吐下利

嘔吐下痢そのまま

其人枯瘦如柴

細い草のように枯れている

立不可动转

立てなくてよろめく

口中苦乾渴

口の中苦くて乾燥して乾いている

汗出

そのまま汗出ている

气急

息を切らしている。

脉微而时結

脈が微でたまに止まる。

配薬から、治方の答えを出せずに、病機もとってつけたような内容しか思い浮かべることができないでいた。そこでふと、肺病を読み進めてみた。

 すると、小補肺湯のに麦門冬、五味子、旋復花、(さらに細辛も)の配薬が存在した。それはやはり呼吸器症状がメイン。まあ名前からしてそうだ。よって大補脾湯の麦門冬以下はの三剤は呼吸器症状の合併を示唆していることになる。

 ではダイレクトな呼吸器症状を表す条文の表現はどれか。それはまさに「気急」である。息が切れているのだ。脾気が強く虧損すると肺陰が損傷するのだ。

 ただここまで来ると改めて経方医学における、胃と脾の関係を再度見直したくなる。胃は全身を巡る気のジェネレーターであり、脾(そして肌)はそのエネルギーを貯蔵すること。脂肪組織もここに当てはまることになる(経方医学1 江部洋一郎 東洋医学出版社 p29-31)。

 ではこの条文の、肺にも及ぶほどの、脾気が虚損。飲食がちゃんと消化吸収できなくて、嘔吐下痢してしまう。そして貯蔵されていた脾気や肌気も尽きかけて体は枯れ草のように細くなっている。腎にも胃気が供給不足し腎気不足で萎病となりよろめく。肺気虚であるので固表できず発汗。胆気(肝気)不足から口苦(小補肝湯参照)、陰虚で口渇がある。肺気にも及ばず、胃気を切らしている状態。脈は陽虚。脈結は時々止まる脈(経方脈学 江部洋一郎 東洋医学出版社 p79)で、心気陰不足、虚労、肺痿(経方脈学 江部洋一郎 東洋医学出版社 p84)である。こう見ると全身の気虚と言うことが分かる。

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