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臓腑と腎精についての覚え書き

漢方医学

 腎精とは、先天的に受け継いだ精と後天的に摂取した食物や大気から生成される精の総称である。突き詰めれば人体の構成と生命維持の基本となる。改めて言うとその精を蔵したり供給するのは腎である。

 腎精は気化して腎気となり、腎陽と腎陰の二つの側面を持つ。腎陽は人体の陽気の根本であり、全身の気血水液を推動し温煦する作用がある。腎陰は体液や精血などの陰液の基本であり、全身の臓腑組織を寧静し滋潤する作用がある。

 現代人はストレスや過労、不規則な生活などによって腎陰が虧損しやすくなっている。 腎陰虚は腎精が不足することを意味し、人体の各臓腑に様々な影響を及ぼす。これに対し漢方治療では滋陰法で腎陰を補うことができる。見方を変えれば滋陰法で腎陰を補うことで後天の精を補い腎精を正常化する方法であるともいえる。

  張錫純は『医学衷中参西録』で現代人の腎陰虚のなりやすさを指摘した。この著作の影響を一定受けたであろう師匠も滋陰法を的確に使用することで臨床の現場で多くの奇効を得ていた。

 ではここで、虧損された腎陰が滋陰されて後天の精が正常化したとき腎以外の各臓臓には病機に対する方意としてどの様な効果をもたらすのか。既存の中医学の中からそれらを抽出し覚え書き書きとして書き出す。なお後日臓腑以外についてもまとめる予定である。

 肺:肺の清気は下行して腎に納り、腎精と結合して人体の天気を化生する。

 脾:脾は後天の本であり、水殻(食物)から精微(栄養素)を抽出し、後天的に精を補う。 脾は運化水湿機能も持つ。これは腎の温煦作用に依存する。

 肝:肝は血を貯える。肝は腎精に滋陰されて機能を維持する。 腎精が正常化すると肝に滋液が供給され、気血の流通や肝火の鎮静などの作用が促進される。

 以上のように、腎精は各臓腑に重要な影響を与える。腎精が不足すると臓腑の機能が低下するといえる。

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