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めまいに悩む患者さんの沢瀉湯治験例

刺絡療法

 一昨年末に来院された患者さんの話である。何年も前から、頭を振るとめまいがするという症状に悩まれていた。様々な検査を受けたが、特に異常は見つからなかった。耳鼻咽喉科にも通われたが、効果はなかった。私の診察室に来られた時も、こうやって頭を動かすとぐるぐるするんだと、何度も実演してくれた。

 私は刺絡という鍼灸の手法を試してみた。刺絡とは、網細血管を鍼で刺して血を出すことで、血流を改善し、症状を緩和する方法である。すると、めまいは少し良くなったが、完全には治らなかった。そこで、漢方薬の沢瀉湯を処方した。

 沢瀉湯は金匱要略の痰飲咳嗽病の条文に基づいており、「心下有支飲,其人苦冒眩,沢瀉湯主之。」とされている。つまり、心下に水が溜まっていて、その人はめまいに苦しむ場合に、沢瀉湯が効くということである。この患者さんの場合も、心下有支飲の証候があったので、沢瀉湯が適切だったと思う。

昨年に入って再び来院された患者さんは、めまいが全くなくなったと喜んでおられる。既に内服終了している。漢方薬の効果が持続していたのだ。

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