毎日午前7時にブログ更新

経方方証縦横に学ぶ葛根加半夏湯の弁証要点、仲景方論、注家方論、医案

漢方医学

経方方証縦横における葛根加半夏湯の「弁証要点」「仲景方論」「注家方論」「医案」についてまとめる。

弁証要点

本方の臨床応用における要点は以下の通りである。

  • 病機と治療原則:太陽と陽明の合病による嘔吐、あるいは風寒表実で寒邪が胃を傷った状態(風寒表実、寒邪傷胃)に用いる。発汗解表・散寒を基礎として、和胃降逆・止嘔を図る。
  • 構成の意図:葛根湯の全方に半夏を加えて構成されている。葛根湯で表を解し、半夏で化痰除痞・降濁止嘔を図り、胃腑を安定させる。
  • 臨床での使用目標:現代では胃腸型の感冒などに多く用いられる。太陽傷寒の表証(悪寒、無汗、項背部のこわばりなど)に、悪心や嘔逆、胃部の冷痛などを兼ねるものを弁証の要点とする。

仲景方論

張仲景の『傷寒論』からの引用として、以下の条文が記載されている。

『傷寒論』第33条:「太陽と陽明の合病で、下痢せず、ただ嘔する者は、葛根加半夏湯がこれを主治する(太阳与阳明合病,不下利,但呕者,葛根加半夏汤主之)」。

注家方論(歴代の注釈家による考察)

歴代の医家たちは、太陽と陽明の合病に対して、なぜ葛根湯に半夏を加えるのかについて以下のように考察している。

  • 成無己(『注解傷寒論』):邪気が外で盛んになり、陽が裏を主ることができず、裏気が不和となった状態であると説明している。気が下って上らないものは下痢して嘔せず、裏気が上逆して下らないものは嘔して下痢しないと分析し、そのため葛根湯でその邪を散らし、半夏を加えて逆気を下げるのだと解説している。
  • 徐大椿(『傷寒論類方』):この条文は太陽・陽明の合病であるため葛根湯の全方を用い、「ただ嘔する」ために半夏一味を加えて止嘔を図ったものであり、病に従って処方を立てる独自の法則(法度)が示されていると述べている。

医案選録(名医の臨床カルテ)

この項目では、風寒の感冒に胃気上逆(嘔吐や悪心)を伴うケースに対して本方を応用した3つの臨床例を紹介する。

  • 劉渡舟の医案(風寒による感冒と嘔吐):35歳の未婚女性。早春の寒風に当たり感冒を発症。頭痛、顔面紅潮、悪風寒、発熱、嘔吐があり、脈は浮、舌苔は白潤であった。陽明経が風寒の襲撃を受け、胃気の上逆を引き起こしたと弁証された。本方(葛根12g、麻黄6g、半夏9gなど)を投与したところ、2剤で汗が出て熱が下がり、嘔吐も再発せず治癒した。
  • 胡希恕の医案(太陽陽明合病の悪心・嘔吐):21歳の女性。前日からの感冒で頭痛、めまい、身体や腰の痛み、悪心・嘔吐、悪寒があり、もともと腹痛と泥状便があった。脈は浮数、舌苔は白であった。「太陽陽明合病」と弁証して本方を投与し、1剤で症状が激減、2剤で全快した。
  • 周慶海の医案(発熱と悪心・咳嗽):52歳の女性。冬に冷えを受けた後、発熱(38.2℃)、頭痛、倦怠感、動悸、悪心で食欲がなくなった。西洋薬の注射で解熱したものの他の症状は軽減せず、少量の白痰を伴う咳嗽も出現した。心電図等に異常はなく、舌は淡、苔は白、脈は浮緊であった。本方を投与したところ、1剤で汗が出て症状が軽減し、2剤で食欲が回復、3剤で咳嗽も止まった。

YouTubeもやってます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました