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経方方証縦横に学ぶ麻黄連翹赤小豆湯の弁証要点、仲景方論、注家方論、医案

漢方医学

麻黄連翹赤小豆湯の弁証要点、仲景方論、注家方論、医案について紹介する。

弁証要点

本方の臨床応用における要点は以下の通りである。

  • 基本効能と適応: 本方は表裏双解剤(表と裏を同時に解する処方)であり、外は表邪の鬱閉を解し、内は湿熱の蘊結(蓄積)を清する働きがある。湿熱による黄疸に表証(外感症状)を兼ねているものに適応する。
  • 臨床での応用範囲: 急性黄疸型肝炎の治療に用いられるほか、消化器、泌尿器、神経、循環器、呼吸器など各系統の疾患や感染症に広く応用できるとされている。

仲景方論

張仲景の『傷寒論』からの引用として、以下の1つの条文が記載されている。

『傷寒論』第262条:「傷寒、瘀熱(おねつ)裏に在り、身必ず黄なるは、麻黄連翹赤小豆湯之を主(つかさど)る」

注家方論(歴代の注釈家による考察)

歴代の医家たちが、本方の生薬構成や湿熱を散らすメカニズムについて考察している。

  • 成無己: 湿が上に昇って熱となっているため、苦温の薬で治し、甘辛の薬で補佐して、汗をかかせて治すと説明している。また、煎じるのに「潦水(ろうすい:雨水)」を用いるのは、味が薄いため湿気を助長しないからだと指摘している。
  • 方有執: 麻黄・甘草・杏仁で気を巡らせて寒を散らし、連翹・赤小豆・梓白皮で湿を巡らせて熱を退け、瘀血を去り黄疸を散らす構成であると分析している。
  • 銭天来: 麻黄・桂枝・杏仁・甘草(麻黄湯)で毛穴を開いて汗をかかせれば筋肉の鬱熱や湿邪は去るが、桂枝を抜いているのは瘀熱を助長するのを恐れるからであると解説している。赤小豆は湿を除き熱を散らし、梓白皮や連翹根は湿熱を散らすと述べている。
  • 呉謙: 麻黄湯を用いて表を開き、黄疸を外から散らすが、熱を避けるために桂枝を去り、営衛を調和させるために姜・棗を加えていると解説している。そこに連翹・梓白皮で熱を漏らし、赤小豆で湿を利することで、表実で発黄しているものを治す効果を完成させているとまとめている。
  • 許宏: 発汗しきれず、瘀熱が裏にあり、脈が浮で体が黄色くなっている者のための処方であると述べている。茵陳蒿湯や梔子柏皮湯など、他の発黄に対する処方との使い分けについても詳細に論じている。
  • 柯韻伯: 本方は麻黄湯の変剤であり、皮膚の湿熱が散らないため発汗させるべきだが、裏の瘀熱が清されていないため桂枝は適さず、酸苦・寒涼の味を選んで営衛を調和させ、涼中で発表(解表)させる処方であると分析している。
  • 尤在涇: 麻黄・杏仁・生姜の辛温で表に発越させ、赤小豆・連翹・梓白皮の苦寒甘で裏の熱を清し、大棗・甘草の甘温で脾を悦ばせ、湿を散らして邪を駆逐する構成だと解説している。
  • 王子接: 表裏分解の法であり、麻黄で湿熱を汗から出させ、連翹根で湿熱を小便から出させ、潦水で薬力を陰から陽へと出させることで、湿熱を解除して黄疸を退かせると述べている。
  • 陳修園: 瘀熱が裏にあり、その湿気を外に蒸発させて黄色くなっている状態に対し、麻黄で陽気を降ろして発散させ、連翹・梓皮の苦寒で火を清し、赤小豆で水を利して湿を導き、姜・棗で営衛を調和させて薬気を肌腠に巡らせ、甘草で太陰を安定させるのだと病理と薬理を解説している。

医案選録(名医の臨床カルテ)

この項目では、黄疸のほか、頑固な蕁麻疹(発疹)などに対して本方を応用した4つの臨床例が紹介されている。

  • 王旭高の医案(伏暑湿熱の黄疸): 伏暑湿熱による黄疸で、腹部が少し張り、小便が出にくく、無汗の患者に対し、本方の加減(豆豉、茵陳などを追加)を用いて治療した例である。
  • 趙守真の医案(風邪をこじらせた黄疸): 田植えで湿熱にさらされ、夜に冷えて風邪を引いた農民。発熱や悪寒があり解表薬で一時楽になったものの、その後頭が重く起き上がれなくなり、体がみかん色になり尿が濃い黄色になった。熱邪蘊鬱・湿気薫蒸の黄疸と診断し、本方に茵陳・薏苡仁などを加えて投与し、その後茵陳蒿湯などに切り替えて完治した。
  • 劉渡舟の医案(奇痒を伴う全身の皮疹): 20歳の男子学生。全身に赤い発疹が出て奇痒を伴い、掻くとみみず腫れになる状態であった。微悪風寒、小便が短赤、舌苔が白くやや膩、脈が浮弦であったことから「風湿客表、陽気怫鬱」で鬱熱が黄疸になりかけている証と弁証し、本方(桑白皮を代用)を投与したところ、2剤で微汗をかいて治癒した。
  • 黄崇一の医案(咳喘を伴う蕁麻疹): 8歳の女児。風寒を感じて咳喘し、全身に赤い発疹が出て奇痒を伴い、夜も眠れない状態であった。本方に僵蚕、荊芥炭を加えて投与し、1剤で病状が半減、2剤で蕁麻疹が完全に消失し、再発もなかった。

 

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