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建中補脾湯を経方医学で解く

漢方医学

輔行訣救諸労損病五首の3つ目の方剤である。

本文を挙げる。

治脾虚肉极,羸唐如柴,腹中拘急,四肢无力方:

甘草炙二两、大枣十二枚,生姜三两切、黄饴一升、桂枝二两芍药六两

右六味,以水七升,煮取三升,去滓,内饴,更上火,令消已,温服一升,日尽之。

脾虚肉极

脾虚で肉極。極まるとはなんだろう。脾は経方医学では胃気を貯める場所。脾虚が極まるわけだから、肉が超薄い、少ない方向性で良いと現時点では判断した。

羸唐如柴

痩せてとても細い。

腹中拘急

腹中攣急。つまり裏急。小建中湯を連想する。

四肢无力

字の如く、四肢に力が入らない。

配薬は小建中湯に近い。私、というか経方医学を学ぶ者は桂皮と芍薬量に目が行く。小建中湯の場合桂皮と芍薬は各々3両と6両で1対2である。一方建中補脾湯の場合、2両と6両で1対3である。何故張仲景は何故桂皮を増量したのだろうか。恐らく、単に「四肢無力」(当方)ではなく、四肢酸疼の通絡にも使用可能な方剤としたのだと愚考した。

経方医学では、小建中湯は桂枝湯のバリエーションの一つと捉えている。小建中湯の方意は正気不足、気のベクトル異常、血絡不通の3つの病態に適応とれる(経方医学2江部洋一郎東洋学術出社 p20)。

以上の小建中湯方意を前提とすると、健中補脾湯方意は以下の通り。

  羸痩が強く四肢無力である。全身に大量の気津を配給する。大棗、生姜、甘草そして膠飴を用いる。特に膠飴は本経に「味甘、主補虚乏」とある(新修本草尚志釣ら安徽科学技術出版社p279)

 気血のめぐりが悪化し血室の絡不通により腹痛が出現する。そこで鼓舞した胃気を多量の胃津とともに芍葉で小腸へ下行させて血脈を通絡して腹痛を治す。また胃気を芍薬で腎に降ろし補腎する。桂皮で上半身に腎気を介して下半身に胃の気津を巡らせ四肢の無力を治す。

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