『トロント最高の医師が教える 世界最強のファスティング (ジェイソン・ファン ら著)』を読んだ。
とても影響を受けた。自分でも現在実践に移している。
この著作においてファスティングの対象は肥満、そして肥満している糖尿病だ。
今回の記事では糖尿病に対しての話とする。
確かに斬新で無理なく良い方法だと思う。
しかし、だからといってすぐには受け入れがたい。
何故なら、糖尿病における想定がどうも、過剰なインシュリン分泌による肥満に続発した状態を前提にしているようだからだ。
本の中で語られるエピソードというか体型はもう日本人のぽっちゃりとは違う巨大な脂肪の塊だ。
実際われわれ日本人がそこまで巨大化することはやろうと思ってもなかなかできない。
実際我が国の糖尿病の患者さんタイプを見ると明らかにインシュリン高値、低値どちらもあり得る。
いや実際には該当する統計は知らない。
あくまでこれまで関西東北で何年もにも渡り糖尿病の外来診療してきた限られた経験からのお話ではある。
事実、私の外来にも明らかに痩身での糖尿病の方が少なからずいらっしゃるというこを主張したいのだ。
わが国の場合、糖尿病のタイプでインシュリン分泌が低くなるタイプを無視できないほどの高頻度で外来におられるのは間違いない。
本著の場合インシュリン抵抗性が高く高インシュリン血症状態の場合、ファスティングをしてインシュリン抵抗性を下げてやれば良いという理屈だ。
すると痩せた上に血糖コントロールが良効になる。
ならば、あくまで思考実験として、やはりインシュリン抵抗性を伴ったインシュリン分泌量(反応含)が低下した患者さんの場合ならどうか。
インシュリン抵抗性を抑えれば少ないはるいは反応の少ないインシュリン分泌量でも血糖コントロールは可能となるだろう。薬物療法も軽減あるいは辞めれる可能性が出てくる。
但し、これはあくまでも頭の中での理屈。
本当かどうか確かめるためには我が国でも実際介入研究で「人体実験」をする必要がある。
だからといってさすがに外来の患者さんにそれをするわけには行かない。
こんなことを書いていると、糖質制限食の治療についての始まりを思い出す。
私の漢方と糖質制限食の師匠は、自分の高校時代の先生を使って糖質制限の実験をしたのが始まりだと語っていた。
入院患者のになったその先生を外に連れ出してステーキを食わせまくったという。
それで血糖コントロール良効となったのがきっかけとニコニコしながら語っていた。
全くもって乱暴な話だ。でも懐かしい。
私も自分の恩師が糖尿病で通院してきたら、断食を勧めてみるか。
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