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経方方証縦横に学ぶ麻黄附子甘草湯の弁証要点、仲景方論、注家方論、医案

漢方医学

『経方方証縦横』の「麻黄附子甘草湯」の「弁証要点」「仲景方論」「注家方論」「医案」についての記述を抽出してまとめる。

弁証要点

本方の臨床応用における要点として、以下のように記載されている。

  • 構成と適応

    本方は「麻黄細辛附子湯」から辛竄(辛味で経絡を走る)の細辛を去り、甘緩(甘味で緩める)の炙甘草を加えた構成である。病状が麻黄細辛附子湯証よりも軽くて緩やかであるため、甘草を加えて麻黄の辛散の性質を緩め、発汗のしすぎを防ぐ意図がある。

  • 現代臨床での応用

    臨床での運用は基本的に麻黄細辛附子湯と同じであるが、肺源性心疾患(肺性心)、冠動脈疾患による不整脈、洞不全症候群、腎炎による水腫(浮腫)などの治療に本方を使用した報告があると記載されている。

仲景方論

張仲景の『傷寒論』からの引用として、以下の1つの条文が記載されている。

『傷寒論』第302条

「少陰病、これを得て二三日、麻黄附子甘草湯は微かに発汗する。二三日して証無きをもって、故に微かに発汗するなり(少阴病,得之二三日,麻黄附子甘草汤微发汗。以二三日无证,故微发汗也)」

注家方論(歴代の注釈家による考察)

8名の医家が、麻黄細辛附子湯との違いや、甘草を加える意義、発汗の程度などについて考察している。

  • 成無己:麻黄・甘草の甘で表寒を散らし、附子の辛で寒気を温めると説明している。

  • 方有執:微かに発汗すると言いつつも、細辛を甘草に替えているのは「和解」の意図も含まれていると分析している。

  • 許宏:初発の少陰病で2〜3日以内に脈が沈細で横たわりたがり、他に吐利や厥逆などの症状がない場合、附子を君薬として経を温め、麻黄と甘草を臣佐として微かに汗を取ることで寒邪を散らすのだと解説している。

  • 李中梓:少陰の発汗の2湯(麻黄細辛附子湯と麻黄附子甘草湯)には軽重の違いがあり、細辛を加えるのは重く、甘草を加えるのは軽い「辛散甘緩」の法であると述べている。

  • 柯韻伯:麻黄細辛附子湯は太陽病の麻黄湯のような「急汗の峻剤」であり、麻黄附子甘草湯は太陽病の桂枝湯のような「緩汗の和剤」であると例えて比較している。

  • 王子接:熟附で腎を固めることで麻黄が深く腎経に入り込んで液を奪うのを防ぎ、さらに甘草で麻黄を緩めて中焦の水谷の津を取って汗とするため、内なる陰を傷つけずに邪を表から散らすことができると分析している。

  • 黄元御:麻黄で太陽の表を発し、附子・甘草で癸水(腎)を温めて己土(脾)を培う構成であると述べている。

  • 章楠:麻黄細辛附子湯は細辛で少陰の裏邪を発散させるため麻黄を長く煮るが、本方は甘草で中焦を守りつつ附子で陽気を固めるため、麻黄は1〜2沸煮るだけで速やかに開泄させ、附子で少陰の陽を助けて寒邪を外に出すのだと、煎じ方の違いを含めてその絶妙なメカニズムを解説している。

医案選録(名医の臨床カルテ)

この項目では、小児の異常な嗜眠(但欲寐)や、感冒後に生じた深刻な浮腫に対して本方を応用した2つの臨床例が紹介されている。

  • 曹穎甫の医案(小児の嗜眠と麻疹)

    5歳の男児。熱も悪寒もないが、ただ眠りたがり、起こして食事をさせてもすぐにまた眠ってしまい、脈が微細無力な状態であった。西洋医に強心剤を打たれたが一時的な効果しかみられなかった。曹穎甫は『傷寒論』の「少陰病、脈微細、但欲寐(ただ眠りたがる)」の証であると見抜き、本方(熟附片、麻黄、炙甘草)に消化を助ける神曲などを加えて投与した。翌日には脈が起き、5日目に全身に麻疹(はしか)が出て微汗をかき、その後別の処方で完治した。1ヶ月後に再び微風寒を感じて同様の嗜眠症状が出た際も、本方を与えて4日で治癒したという症例である。

  • 劉景祺の医案(感冒後の全身浮腫・尿少)

    23歳の女性。半月前に感冒(咽頭痛・発熱・悪寒)を患い、5日前から尿が減り、腰痛、眼瞼および両足の極度な浮腫(くるぶしが見えないほど)が現れ、皮膚が冷たく食欲もない状態であった。尿検査でも異常が認められた。舌は淡で歯痕があり苔は白滑、脈は関が滑で尺が沈緊であったことから、太陽と少陰の両感(正水)と診断し、解表温裏・化気行水のために本方(麻黄9g、炮附子3g、炙甘草6g)を投与した。1剤服用後、夜間に大量の排尿があって浮腫が大半消え、3剤で浮腫が完全に消退して尿検査も正常に戻り、完治した。

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