今回は経方化裁の中で坐骨神経痛の適応が可能な経方方剤を抽出したので以下に記す。
- 桂枝湯
【適応根拠】
発熱、汗が出て風を嫌う(汗出悪風)、首や頭の痛みなど、体表の気血の巡り(営衛)が不調な状態に用いる。
【実践的な加減方と理由】
- 一般的な坐骨神経痛: 赤芍、牛膝、木瓜、防己、伸筋草、威霊仙を追加する。理由(病機): 経絡を通じさせ、湿を取り除いて痛みを止めるためである。
- 病が長引き経絡に深く入った場合: 地鼈虫(土鼈虫)、地竜、烏梢蛇などの虫類を追加する。理由(病機): 虫類の薬効で深く入り込んだ邪を捜し出し、強力に経絡を通す(捜剔)ためである。
- 営衛の不調や気血不足により筋脈が栄養されず、しびれや引きつりがある場合: 鶏血藤、海風藤、黄耆、当帰、川芎を追加する。理由(病機): 弱った気血を補い養い、筋脈を潤すためである。
- 甘草附子湯
【適応根拠】
関節の激しい痛み、曲げ伸ばしができない、痛む場所を触られるのを嫌がる、汗が出て風を嫌う、息切れ、尿量減少など、風寒湿の邪が関節に侵入した状態に用いる。
【実践的な加減方と理由】
- 慢性的な腰仙関節炎に続発する坐骨神経痛: 白朮、杜仲、当帰、川牛膝、黄柏を追加する。理由(病機): 脾腎を補い、下半身の湿熱を除きながら筋骨を強め、経絡を通すためである。
- 烏頭湯
【適応根拠】
寒湿による関節の激しい痛み(屈伸困難)、寒さを嫌い温めると楽になる、舌苔が白滑、脈が沈弦または沈緊など、寒湿の邪が関節に深く滞った状態に用いる。
【実践的な加減方と理由】
黄耆桂枝五物湯と合方(黄耆、桂枝、白芍、制川烏、制草烏、五加皮、川断、威霊仙、大棗)した上で、以下の加減を行う。
- 気虚・血虚・陽虚がある: それぞれ黄耆、当帰、白芍、附子を重用する。理由(病機): 不足している気血や陽気を補うためである。
- 冷えが強い(発冷): 川烏、草烏を重用する。理由(病機): 強力に寒邪を散らし、温めるためである。
- 引きつり(拘攣)が強い: 白芍、甘草を重用し、木瓜を追加する。理由(病機): 筋を柔らげて引きつりを緩め、痛みを止める(柔肝緩急)ためである。
- 湿邪が明らか: 防己、羌活を追加する。理由(病機): 風湿を除き、経絡を通すためである。
- 頑固な痛みが続く: 全蝎、蜈蚣を追加する。理由(病機): 虫類の薬効で深く滞った邪を抜き、痛みを止めるためである。
- 局所のしびれがある: 鶏血藤を追加する。理由(病機): 血を養い、経絡を巡らせるためである。
- 坐骨神経炎の場合: 制川烏に黄耆、白芍、桂枝、川芎、当帰、川牛膝、炙甘草、麻黄、紅花、蜈蚣を加える。理由(病機): 寒湿を散らし、気血を補い、瘀血を化して経絡を通すためである。
- 当帰四逆湯
【適応根拠】
手足の強い冷え、しびれ、悪寒、下腹部の冷えと痛み、脈が細く絶えそうなど、血虚と寒邪により経脈が滞った状態に用いる。
【実践的な加減方と理由】
- 坐骨神経痛: 基本方に牛膝を追加する。理由(病機): 血を養い寒を散らす基本方に、下半身(足腰)に薬効を導き、血を巡らせて経絡を通すためである。
- 薏苡附子散
【適応根拠】
胸の痛みが主適応であるが、寒湿痺証として腰や膝の痛み、手足が重く曲げ伸ばししにくい状態にも用いる。
【実践的な加減方と理由】
- 坐骨神経痛: 烏薬甘草湯と合方する。理由(病機): 寒湿を温化し、気血の巡りを良くして痛みを和らげるためである。
実際坐骨神経痛は刺絡で最初に一旦症状を寛解させて、これらの情報から、何らかの方剤で同時併用して治療していく流れを作れたらなと思う。


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