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縦横は経方にも:経方方証縦横プロローグ

漢方医学

『温病縦横』でこれまで学んできたが、次に読む本はすでに決まっていた。以前、タイトルが類似しているため手に取った書籍、『経方方証縦横』(主編:竇志芳、軍事医学科学出版社、2011年8月第1版)である。

『温病縦横』は、伝変を衛気営血弁証や三焦弁証に整理し、病機と方剤の方意の整理を試みた画期的な書であった。では、本書『経方方証縦横』はどうか。

本書のタイトルにある「縦横」には、方剤の知識を縦横に結びつけ、総合的に解説するという意味が込められている。『傷寒論』の条文をただ順番に解説する伝統的な注釈書とは異なり、経方の知識を「横のつながり」と「縦の深掘り」というアプローチで立体的に整理しているのが特徴である。

まず「横のつながり」すなわち類方による分類についてである。『傷寒論』に記載された100種類以上の一般的な湯方を、似た性質や基本となる骨格ごとに「桂枝湯類方」「麻黄湯類方」など16の類方に横断的に分類している。

例えば、第一章「桂枝湯類方」では、基本となる桂枝湯を筆頭に、桂枝加葛根湯、桂枝加厚朴杏子湯、小建中湯など関連する18処方を一つのグループとしてまとめている。第二章「麻黄湯類方」でも同様に、麻黄湯を中心に葛根湯、大青龍湯、小青龍湯など11処方が並ぶ。このように関連処方を横に並べて配置することで、各処方の共通点や違いを体系的に理解できる構成となっている。

次に「縦の深掘り」すなわち多角的な詳細解説についてである。各方剤について、基礎知識から歴代の解釈、実際の臨床応用までを縦割りに深く掘り下げている。具体的には、方剤組成、服用方法、治則方解、弁証要点、仲景方論、注家方論、医案選録、長沙方歌の8項目が設けられている。

桂枝湯を例にとると、単なる生薬の構成や分量にとどまらず、服用後に熱いお粥をすするなどの細かな指示まで記載されている。治則方解では営衛不和という病機や解肌祛風といった治療原則、各生薬の役割を説き、弁証要点では自汗や悪風といった臨床応用のポイントをまとめている。さらに、張仲景の原文から関連条文を網羅し、成無己や柯韻伯など歴代の著名な医学者による解釈を複数引用することで歴史的な視点を提供している。また、呉佩衡や劉渡舟ら近現代の名医が実際に桂枝湯を用いて、小児のひきつけや慢性的な感冒などを治した具体的な医案が7例も紹介されている。

このように、歴代の注釈や名医のエッセンスを抽出し、経方の知識を縦横無尽に連携させて網羅しようとしている点が、他の経方医学書にはない本書の最大の特徴であり、「縦横」というタイトルに表れている。ただしその試みが本当に画期的かどうかは読み進めて確かめていく。

もっとも、長沙方歌のような覚えやすい歌は、ネイティブではないので受け入れることはないであろう。現時点では『温病縦横』ほど縦横のイメージが明確に掴めていないのも事実だが、歴代の解釈を集めた注家方論や、具体的な臨床例である医案選録からは、大いに学ぶことができそうである。そして今後読むべき本の指針にもなるかもしれない。経方医学からの解説もからめて読み進めていこうと思う。

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