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医学哀中参西録の小青竜湯とその加減を経方医学で読む

漢方医学

 張錫純(医学哀中参西録)のいうところの小青竜湯とその加減方、あるいは類似した病機の創成された方剤について 経方医学で読み解く試みをする。

その加減は張錫純の小青竜湯の解釈の上に成り立つ。そしてその加減そして方剤が有効であるという前提がある。一方経方医学による小青竜湯の解釈がかっちりとある。そしてそれは必ずしも張錫純の解釈と一致するとは限らない。しかし恐らく、張錫純の加減が有効であるならば、やはり経方医学で読み解けるはずだと考える。

経方医学3p49で小青竜湯について急性疾患の傷寒論と慢性疾患の金匱要略に分けている。その本質は素体で内部陰陽失調、その後外感を被るという流れだ。それではその内部陰陽失調とは具体的に何か。それは胃、腎気が不足気味。胃飲は心下に押し上げられて心下に水気を有するようになる。すると、心下のルートの胃気が出入不利となる。肌の還流が悪化して肌に湿を生している状態である。ここに外邪が入り込むのだ。

傷寒論条文を読むと、

(40) 傷寒表不解,心下有水気,乾嘔,発熱而咳,或渇,或利,或噎,或小便不利,少腹満,或喘者,小青竜湯主之。

(41) 傷寒,心下有水気,咳而微喘,発熱不渇;服湯已,渇者,此寒去欲解也;小青竜湯主之。

経方医学3p51を参考に素体の内部陰陽失調後外感を受けた状態をまとめる。邪が侵入して寒邪外束。胃気が肌気や脈外の気として邪を外泄しようとするも腠理が閉じている。外泄できないため肌にある湿は鬱熱となり熱発する。胃気は消耗して守胃が充分にできず上逆して乾嘔。心下に飲がさらに貯留し昇降不利が続発して咳嗽や喘。胃気が小腸を養わずまた心下の飲が下流すると下痢。胃気が腎気を養わず腎気虚が進行して小便不利、小腹満、或噎(つかえる)となる。

さて、参西録p14では急性疾患と言うところだろうから、傷寒論系の病機治方で良い。

経方医学3p63を参照に治方を整理する。桂麻で外邪を去り、麻黄で肺を宣散を促す。半夏、芍薬麻黄、乾姜で心下の飲を捌く。麻芍で肌湿の還流。また芍薬で一二次昇降を促す。半夏乾姜で胃の寒飲を除く。乾姜は炙甘草と共に胃気を高め守胃。五味子は胆気腎気の固摂を高める。肺気の粛降へ関与する。細辛は後通の衛気を外達させることで、これも肺の粛降に関わる。因みに噎とは腎不納気による症状である、としている。

以下は参西録p14にある、小青竜湯の加減について、症状、病機、治方みていく。

(1)気逆促迫喘して呻吟。肩で息。去麻黄加杏仁。熱があれば加石膏。症状は喘息発作。粛降障害なのでそこを優先的にたたく。杏仁を増量し宣散薬の麻黄をさる。熱は胃気が鼓舞されてさらに症状悪化する可能性がある。そこで石膏で胃熱をさまし、さらに粛降させる。

(2)気逆促迫喘して呻吟。肩で息。脈無力あるいは兼数。去麻黄加杏仁加石膏人参。

上記(1)に加えて、脈証が無力、あるいは無力数。つまり気虚が極まり、かつ粛降障害。人参で強く守胃しつつ石膏で粛降させる。

(3)−(7)は後日。

注:参西録とは「中医臨床のための医学哀中参西録 第1巻 傷寒・温病偏 神戸中医学研究会編訳 東洋医学出版社」を指す。

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