蕉窓雑話とは江戸期漢方の臨床家和田東郭の談話が弟子たちによりまとめられた全104話からなる書籍。
いや、読んでいなかった。敬遠していた。
細かいコツのようなことがまとまり無く書かれていて咀嚼しがたい気分でいたからだ。
近年Cosenseを得てこのような内容でも、記憶力が乏しい私でもなんとか行かせるようになった。
さらに、近年「対訳蕉窓雑話 福岡・蕉窓雑話を読む会著(たにぐち書店)」なる大変読みやすい書籍が発刊されていた。去年の日本刺絡学会の販売コーナーで買ってしばらく寝かせ、最近紐を解いた。
この時代から、単に一対一に症状(あるいは証)と方剤を結び付けることを戒めている。その説明で傷寒論の中で四逆湯と大承気湯が同じ条文にあることを例で示している。
それは恐らく傷寒論の一連の流れで、以下の条文であろう。
(36)下利腹脹満,身体疼痛者,先温其裏,乃攻其表。温裏宜四逆湯,攻表宜桂枝湯。
(37)下利三部脈皆平,按之心下堅者,急下之,宜大承気湯。
(38)下利脈遅而滑者,実也,利未欲止,急下之,宜大承気湯。
どれも下痢症状だ。
一方方剤はどうか。
四逆湯は補剤。それに対して大承気湯は瀉剤だ。まるっきり逆だ。
形式や法則に縛られずに、患者がその症状を為す理由を見極めて処方するのが肝要であると私は解釈した。
今で言うところの漢方処方を鍵と鍵穴の関係であると、むしろ拘泥してしまっている漢方医を戒めていたのだろう。
有り難いことに私の場合は経方医学があるので比較的楽にあれこれと病機を類推することができる。そしておそらくはその、見極める方法が今後の章に書き記してあるのだろう。読み進めていこう。
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