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歩きながら思考を紡ぐ。AI音声入力がもたらす知的生産

情報管理

 音声入力をもっと活用したい。しかし、医局は静寂そのものである。ちょっとした独り言をつぶやくだけでも他の医師が絡んでくる。絡まれるのは嬉しいが、音声入力は一人で落ち着いて行いたいものだ。結果として、気兼ねなく入力できるのは他の医師がいない当直日か、帰宅後のみ。往復の新幹線でもできなくはないが、どうしても誤入力が多くなるのが悩みの種であった。

 私の音声入力デバイスは、有線のEarPods(USB-Cタイプ)である。Appleにしては比較的安価でありながら口元にマイクが配置される優れもので、周囲を気にしたヒソヒソ声でも正確に入力することができる。

 ある日、ふらふらと病棟回診をしている時に、ふと気づいた。通信環境の整ったiPhoneさえあれば、場所を選ばずどこでも入力ができるという事実に。例えば、誰もいない時間の病院の図書室(古い本がある小ぶりな部屋。人がいることは殆どない)や、一人きりになれる当直室である。あるいは、たまたま誰もいない医局。実際に試してみたところ、驚くほどスムーズに入力できた。

歩行と思考の不思議な関係

 今日、音声入力に適した「場所」を見つけたこと以上に、決定的な気づきがあった。それは、「歩きながら話すと、アイデアがどんどん湧いてくる」という事実である。

以前、YouTubeで「思いついたことをすぐ音声入力する」という手法が紹介されていた。当初は「さすがに難しいかもしれない」と思っていたが、実際に図書室や当直室を歩き回りながら入力してみると、座ってじっとキーボードに向かっている時とは全く異なる感覚に陥った。

 座っている時でも、与えられた問いに対する答えを出すことはできる。しかし、ゼロから新しい発想を生み出すとなるとどうだろうか。歩きながら話していると、本来はブログの原稿を書くだけのつもりだったのに、次々と語るべき項目が溢れ出てくる。ジャンルを問わず、話したいことが次々と数珠つなぎに出てきて、もはや「音声入力をしたくてたまらなくなる」ほどである。これほどまでに、歩いて喋ることが思考を簡単に外へ引っ張り出してくれるとは想像もしていなかった。今は時間がなくて難しいが、将来的には外を散歩しながらの入力も試してみたいと思っている。

思考を形にするAIツール「Typeless」と「Amical」

 音声入力を支えるアプリについては、現在「Typeless」と「Amical」を比較している。どちらも発展途上のツールであるが故に、それぞれ独自の強みと癖がある。

Amicalは完全無料であるという大きなアドバンテージを持っている。しかし現時点ではMac専用であり、iOSやiPadでの運用には対応していない。

 一方、Typelessは有料(現在は週8,000文字の無料枠を利用中)であるものの、非常にアップデートが早い。使えば使うほどAIが私の言葉遣いや独特の言い回しを学習し、認識精度が向上しているのを実感している。場所を選ばない機動力と、文脈を読み取って自然に整形してくれる能力を考慮すると、これからはTypelessの出番が多くなる可能性が高い。週に8000字を超えたら有料というのも良心的だ。当然超える様になったら有料会員になるつもりだ。

情報管理の徹底と、生み出される知識の行方

もちろん、医師という立場上、個人情報の保護は絶対である。患者様が特定できるような機密情報は決してマイクを通して入力しない。万が一、誤って入力されたとしても、必ず厳格にチェックして除外するルールを徹底している。

こうして歩きながら紡ぎ出された無数のアイデアの断片は、単なるブログのネタにとどまらない。声に出すことで、例えば「次はこれをやってみよう」という杖道の稽古内容の構想がひとつのドラフトとしてまとまったり、日々の思考を体系化していくZettelkasten(ツェッテルカステン)の永久保存メモの源泉にもなる。

「歩きながら、話す」。たったこれだけのシンプルな行動が、私の知的生産における大きなパラダイムシフトになろうとしている。

YouTubeもやってます。

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