毎日午前7時にブログ更新

【輔行訣】大陽旦湯を経方医学で読む

漢方医学

 大陽旦湯の条文を示す。

 治凡病汗出不止,氣息惙惙,身勞力怯,惡風涼,腹中拘急,不欲飲食,皆宜此方,若脈虛大者,為更切証也。

 黄耆五兩人參桂枝生姜各三兩甘草炙,二兩芍藥六兩大棗十二枚飴一升

 右七味,以水一斗,煮取四升,去滓,内飴、更上火,令烊已,每服一升,日三夜一服。

 以下の症状を治す。

 凡病汗出不止

 汗が出て止まらない

 氣息惙惙

 呼吸は不安や心配で心が落ち着かない様子

 身勞力怯

 体は衰え怯え

 惡風涼

 寒くて冷たい

 腹中拘急

 腹が痛む。つまり腹中攣急、裏急。

 不欲飲食

 食べたくない。

 皆宜此方,若脈虛大者,為更切証也

 この処方でいいのだけど、脈虚大の人はさらにこの証に合っている。

 病機を経方医学で察すると以下の通り。

 外感病で素体は虚労。発汗、悪風ということで桂枝湯の病機。但し止まらないほどの発汗でるから、腠理は閉じることが出来ないほど胃気が衰えている。さらに呼吸が不安や心配で落ち着かない症状は肝気虚(胆気虚)も伴っている可能性がある。これは収斂疏泄機能が失調していることを示唆している。胃気の小腸絡への供給が低下するため腹痛、裏急が起きる。胃気の不足と腹痛で食欲がでない(経方医学2 p32)。

 この病機に対する治方は強い虚労に対して生姜で胃気を鼓舞し大棗甘草人参で胃気を守り、膠飴と共に多くの津液を作り、桂皮芍薬で上下焦に送る。また小腸絡に対して胃気を芍薬で落とす。肝気虚に対しては桂皮を使い不安感も改善する。収斂は芍薬、大棗、人参、甘草で守胃。黄耆は固表となり発汗を抑える。桂皮黄耆にて腠理は機能を回復して悪寒は消失する。

コメント

タイトルとURLをコピーしました