一般内科外来において頻尿症状といえば頻度から、感染症か過活動膀胱を念頭におく。
男性ならば前立腺を念頭に置く。勿論、その筋の専門医ならさらに細分化してくれるので有り難い。
他に内分泌系やら腫瘍なんかもあるだろうが、繰り返すが先ずは頻度の高い順につぶしていく。
これが東洋医学となると別の意味で細分化される。
ざっと代表的な病機は、湿熱、腎虚、心因性、神経症などがある。さらに使用方剤はエキス剤以下の通り。
清心蓮子飲、五淋散、竜胆瀉肝湯、八味地黄丸、牛車腎気丸、小建中湯、附子人参湯、猪苓湯、加味逍遙散、猪苓湯合四物湯がある(症候による中医診断と治療上巻 神戸中医学研究会 燎原書店p706-708他参照)。勿論生薬処方ではこれに限らない。
ところで、東洋医学にも臓腑弁証で膀胱はある。
それでもトピックが段々と膀胱から離れていくのが面白い。
最高に膀胱から離れているな、と思えるのは、「肺」だ。金匱要略の肺痿肺癰咳嗽上気病脈証并治第七の条文を挙げる
(5)肺痿吐涎沫而不咳者,其人不渇,必遺尿,小便数,所以然者,以上虚不能制下故也。此為肺中冷,必眩,多涎唾,甘草乾姜湯以温之。若服湯已渇者,属消渇。
経方医学で病機を察すると、胃寒により臓腑すべてが冷える。特に肺中冷による粛降過多での頻尿、腎が冷え気化作用が失調して小便数と遺尿が出現するという。
肺まで来たぞ。
治方は胃寒を治す甘草乾姜湯(エキス剤ではない)。
もはや肺も関係ないじゃん。
恐るべき東洋医学。
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