地域ごとの漢方処方:東北地方の特性
症状や症候、治療法が明確であっても、それだけでは治療が必ずしも成功するわけではありません。地域ごとに特有の要因が影響を及ぼすことがあります。例えば、同じ東北地方でも秋田県と岩手県では冬の湿度が異なります。湿度の違いは、漢方薬の処方にも影響を与えます。
秋田県の湿気と祛湿剤
秋田県は冬でも湿気が強い地域です。湿気は湿気を引き寄せる性質があります。そのため、秋田県では湿邪を祛(け)すために祛湿剤を方剤に加えることが一般的です。
岩手県の低湿度と漢方処方
一方、岩手県では冬の湿度は低いです。秋田県ほど祛湿剤を盲目的に加える必要はありません。また、外来に来る患者層にも特有な性質があります。例えば、高雄病院の師匠の外来は難治の患者が多く紹介されています。そのため、より奥深い使い方が求められています。
陰虚と麻黄附子細辛湯
地域の特性だけではありません。そもそも漢方外来の特徴でも患者層に差が出ます。師匠は生前、最近の花粉症患者に対して麻黄附子細辛湯が効きにくいと指摘していました。近代の老中医である張錫純も陰虚の患者が増えていると主張しています。陰虚の患者には勿論滋陰方が必要です。
そうかなるほど有効だと、私も師匠の元では滋陰法を使う機会が多かった記憶があります。しかし、東北に移ると、外来の様相が変わってきます。麻黄附子細辛湯証の方がむしろ圧倒的に多いのです。これは師匠の外来にはすでに麻黄附子細辛湯を処方されて無効であった方が多く来るためです。
地域ごとの特性を考慮した漢方処方
地域ごとの特性により、効きやすい漢方が異なります。エキス剤で病名漢方を処方する際には特に注意が必要です。なぜなら生薬処方なら簡単に加減できますが、エキス剤はそれが困難だからです。
まとめると、地域ごとの特性を考慮した漢方処方は、患者に適切な治療を提供するために欠かせない要素です。
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