春の行楽シーズン、くずまき高原へ出かけて美味しいパンやソフトクリームをたっぷり堪能した日や、buffetの食べ放題でつい限界までお腹いっぱい食べてしまった日。「あぁ、今日食べた分が全部脂肪になってしまう…」と、翌日体重計に乗るのが恐ろしくなった経験は誰にでもあるのではないだろうか。
しかし、安心してほしい。実は人体において、食べた糖質がそのまま無尽蔵に脂肪へと変換されるわけではないのだ。今回は、脂肪が合成されるメカニズムの「限界値」と、食べ過ぎてしまった翌日にできるシンプルなリカバリー法について備忘録としてまとめておく。
1日に作られる脂肪には「天井」がある
大量の炭水化物を過剰摂取させた研究によれば、体内のエネルギー貯蔵庫が満杯になった後でも、1日に体内で糖質から新たに作られる脂肪の量は、最大で約150g程度である1)。
この約150gの脂肪を作るためには、約475gもの糖質が必要となる。つまり、体内で新たに脂肪を合成するシステムには、1日あたり約500gの糖質しか処理できないという明確な限界値が存在するのだ。
したがって、仮に900gや1000gといった桁外れな量の糖質をドカ食いしたとしても、それに比例して脂肪が何百グラムも無限に作られるようなことは決して起こらない。
処理しきれなかった糖質はどこへ行く?
では、脂肪合成の限界である約500gの枠からあぶれてしまった大量の糖質は、一体どうなるのだろうか。
実は、身体の代償メカニズムは非常に優秀である。余剰となった糖質は、身体がエネルギー消費のペースを大幅に引き上げたり、熱として体外へ放散したりすることで劇的に処理される。体内のどこかに糖質が無限に溜まり続けるようなことはなく、すべて安全にさばき切られるシステムになっているのだ1)。
食べ過ぎた翌日のシンプルなリセット法
極端な過食をしたからといって、翌日にキロ単位で純粋な脂肪が増えるわけではないことが分かった。しかし、食べたものを処理するために胃腸には確実に大きな負担がかかっている。
そこで、もし食べ過ぎてしまった場合は、これはbuffet愛好家の私の、あくまで持論ではあるが、「16時間ほど意図的に空腹の時間を設ける」というシンプルなアクションをおすすめしたい2)3)。
難しい食事制限や特別な運動を追加する必要はない。ただ胃腸をしっかり休ませ、働き詰めの消化システムをリセットするための時間を確保するだけで十分である2)3)。
まとめ
脂肪の増減には、生理学的な限界値が設定されている。ついドカ食いをしてしまったとしても、焦って自暴自棄になる必要はない。体のメカニズムを知り、翌日は16時間ほど胃腸を休ませる。この事実とシンプルな対処法を知っておくだけで、日々の体重管理や体づくりはもっと心穏やかに、そして着実に継続できるはずである。
【引用文献】
1. Glycogen storage capacity and de novo lipogenesis during massive carbohydrate overfeeding in man
K J Acheson 1, Y Schutz, T Bessard, K Anantharaman, J P Flatt, E Jéquier
Am J Clin Nutr. 1988 Aug;48(2):240-7
2. Effects of Intermittent Fasting on Health, Aging, and Disease
Rafael de Cabo 1, Mark P Mattson 1
N Engl J Med. 2019 Dec 26;381(26):2541-2551
3.Flipping the Metabolic Switch: Understanding and Applying the Health Benefits of Fasting: Flipping the Metabolic Switch
Stephen D. Anton 1,2, Keelin Moehl3
Obesity 26: 254-268
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