『経方化裁』のドキュメントから、「尿路感染症・膀胱炎・排尿痛(淋病)」に関連する実践的な加減方を抽出・整理した。各方剤の適応根拠と、生薬の加減およびその理由(病機・治方)を以下にまとめる。
- 猪苓湯
【適応根拠】
喉が渇いて水を飲みたがる、尿が出にくい、発熱、不眠、舌質が紅く苔が水滑など、水と熱が結びつき(水熱互結)、陰液が不足している状態に用いる。
【実践的な加減方と理由】
- 熱淋(排尿痛や頻尿を伴う熱性の症状): 萹蓄、通草、瞿麦を加える。理由: 熱を冷まし、尿の通りを良くする(清熱通淋)ためである。
- 血淋・血尿: 白茅根、大薊、小薊、大黄炭、仙鶴草を加える。理由: 血の熱を冷まして止血する(涼血止血)ためである。
- 急性尿路感染症で陰虚と熱がある(尿の色が濃い): 連翹、蒲公英、敗醤草、土茯苓を加える。理由: 熱を清め、湿を取り除くためである。
- 急性腎盂腎炎の陰虚型: 旱蓮草、女貞子、三七粉を加える。理由: 陰液を潤し、血の熱を冷まして止血するためである。
- 抗生物質が効きにくい反復する尿路感染症: 阿膠を旱蓮草に変え、蒲公英、半枝蓮を加える。理由: 陰を養って止血し、抗菌・消炎(清熱解毒)作用を高めるためである。
- 蒲灰散
【適応根拠】
熱淋、血淋に適応する。尿が出にくい、排尿時の痛み、血尿、下腹部のひきつり、口は渇かない、舌苔が白膩または微黄など、湿熱と瘀血が下焦に停滞している状態に用いる。
【実践的な加減方と理由】
- 熱淋: 山梔子、車前子、黄芩などを加える。理由: 熱を冷ますためである。
- 血淋: 生地炭、小薊、茜草炭、白茅根などを加える。理由: 血の熱を冷まし止血するためである。
- 排尿時の渋るような痛み: 琥珀粉、甘草梢などを加える。理由: 痛みを和らげるためである。
- 前立腺肥大に伴う急性尿閉: 滑石、瞿麦、萹蓄、琥珀、沢瀉、生甘草を加える。理由: 尿の通りを強力に促すためである。
- 滑石白魚散
【適応根拠】
血淋に適応する。排尿時の渋るような痛み、血尿、下腹部のひきつり、舌質が紫、脈が沈細数など、下焦に瘀血と熱が結びついている状態に用いる。
【実践的な加減方と理由】
- 血淋で熱が強い: 大黄、山梔子を加えるか、瀉心湯と合方する。理由: 熱を冷ますためである。
- 腹痛が強い: 当帰、延胡索、白芍などを加える。理由: 血を巡らせて痛みを和らげるためである。
- 排尿時の痛みが強い: 甘草梢、琥珀などを加える。理由: 痛みを和らげるためである。
- 茯苓青塩湯(茯苓戎塩湯)
【適応根拠】
労淋(過労で悪化する慢性的な尿路疾患)に適応する。頻尿で尿量が少ない、残尿感、下腹部の膨満感、腰や膝の無力感、舌質が淡く苔が白など、脾腎両虚(胃腸と腎の機能低下)の慢性的な状態に用いる。
【実践的な加減方と理由】
- 労淋で気虚(疲労感など)が重い: 黄耆、党参、黄精、当帰などを加える。理由: 気を補い血を養うためである。
- 労淋で腎虚が重く腰が痛む: 熟地黄、淮山薬、狗脊、川断などを加える。理由: 腎を補い腰を強くするためである。
- 淋病で熱がある: 地骨皮、白薇、桑白皮、車前子などを加える。理由: 虚熱を冷ますためである。
- 膀胱結石: 滑石白魚散と合方し加減する。理由: 結石を排出し痛みを和らげるためである。
- 栝蒌瞿麦丸
【適応根拠】
尿が出にくい、口が渇く、腹の中が冷える、下肢のむくみ、舌質が紅く苔が黄など、上燥下寒(上部が渇き、下部が冷えている)で、陽気が水を巡らせられない状態に用いる。
【実践的な加減方と理由】
- 尿路感染症: 金銀花、黄芩を加える。理由: 熱を清め解毒するためである。
- 尿中に白血球がある: 敗醤草を加える。理由: 清熱解毒するためである。
- 尿蛋白が増加している: 生黄耆、党参を加える。理由: 気を補い、固めて漏れを防ぐ(引き締める)ためである。
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