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夏版感冒薬香葛湯ってどうよ

漢方医学

 傷寒論が出典の漢方方剤において、風邪薬のメインは悪寒を伴う風邪である。

例えば風邪の引き始めに飲む感冒薬で有名な葛根湯も悪寒を伴うことが条件。

風邪の引き始めで悪寒を伴わない風邪ってあるのか?

それは温病である。最初から悪寒がない、あるいは少ない風邪。傷寒論の中にも具体的な処方はない。ただ近年まとめられた温病論の体系がある。この温病は我が国の漢方エキス界はややマイナーである。

ところで江戸期の漢方では幾つか夏版感冒薬がある。

その1つが香葛湯である。

香葛湯の原方は辻本菘庵(つじもとしょうあん)の創薬。勿誤薬室方函口訣では暑熱、桂麻使えぬ者に使用すると書かれている。香蘇散に葛根と桔梗を加えると言う発想。桂麻というのは先の葛根湯や、桂枝湯、麻黄湯などを指す。

香葛湯の配薬は葛根、紫蘇葉、桔梗、陳皮、香附子だ。甘草ははない。香附子がはいっていることから基本的に少陽の構造に見え隠れする。宣散粛降疎胆の薬だ。

特筆すべきは甘草はない。また、生姜など胃気を鼓舞する配薬はない。傷寒の場合、つまり悪寒があるような風邪の初期で解表させる場合、甘草や人参で守胃しつつ、胃気を鼓舞する生姜を配薬する。でもこの方剤はそれらがない。必要な場合は病機を解き明かして甘草など加減すればいい。必要なければ要らない。なかなか経方医学的に分かりやすく加減し易い配薬だ。

この夏使うことがあるかも知れない。

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