小朱鳥湯(しょうしゅちょうとう)の配薬は傷寒論の黄連阿膠湯と同一である。
条文を挙げる。
治天行熱病,心氣不足,內生煩熱,坐臥不安,時下利純血如雞鴨肝者方:
雞子黃二枚阿膠三錠黃連四兩芍藥各二兩
右五味,以水六升,先煮連、芩、芍三物,取三升,去滓,內膠,更上火,令烊尽,取下待小冷下雞子黃,攪令相得,溫服七合,日三服。
まずは意訳から。
治天行熱病
外感熱病。
心氣不足
心気不足(下参照)
內生煩熱
発散できない熱が出現
坐臥不安
座ったり寝たりしてが落ち着きない
時下利純血如雞鴨肝
時に鴨肝の如き下血する。
経方医学5p169に黄連阿膠湯の解説がある。該当条文を挙げる。
傷寒論303条 少陰病,得之二三日以上,心中煩,不得臥,黄連阿膠湯主之。
本条文に合わせて病機を経方医学で察する。素体は陰虚、邪が後通より直中し化熱し腎陰虚が悪化し陰虚内熱。虚実夾雑して熱邪に変化する。寝たり座ったり落ち着かない。熱邪が膈、胸、心、心包へ到達して熱を帯び、血脈の統摂失調をきたす。よって出血傾向が出現して時に下血する(経方医学4p211)。
心気不足に関する解説はを参照すると、血脈の統摂作用が失調することである。陰虚内熱が熱邪とかして心へ到達して出血傾向に及び下血を出現させる。
治方は、阿膠雞子黄で腎の補陰。芍薬で胃気を腎へ供給する。陰虚内熱は消失し、補腎される。黄芩、黄連で心、膈、胸を清熱する。
少し気になるのが、配薬の阿膠の量だ。小朱鳥湯では3「錠」で傷寒論では3「両」、あるいは「3挺」とある。
現時点で私の仮説として申し上げたい。
錠や挺は個数を示すのではないだろうか。
例えば3つ、3個、3匹のような。
逆に両となると、阿膠3両大凡45gも煎じ薬に投薬したら、なんだかべとべとし過ぎるような気がするのだ。他の生薬が煮出すのに対して溶かすわけだし。
では実際どの程度の量が正しいかと言われると、それは不祥である。阿膠独特の規格があり、それを3個という表現で表した、そのように今のところは解釈している。
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