治療の進展と新たな問題
非常に愁訴が多く、症状があっちこっちに飛ぶ患者さんを以前紹介しました。ようやく治療法が固まってきたと思ったところで、少し問題が発生しました。症状は、敏感すぎる嗅覚と胡椒味の唾液です。
症状の分離と初期治療
当初、この2つの症状は別々のものと考えられていました。どちらの症状にも井穴刺絡を行い、症状を一時的に消失させました。その後、紆余曲折を経て、1つの結論に達しました。
敏感すぎる嗅覚の治療
敏感すぎる嗅覚に対しては、H5F5を用いました。これは副交感神経亢進状態と捉えたもので、この治療により、アルコール臭のする酒精綿の匂いすら感じなくなりました。
胡椒味の唾液に対するアプローチ
胡椒味の唾液については、直感的な臨床経験はありませんでしたが、唾液の性質が粘性が高いことから、唾液の異常分泌症を考慮しました。H6F4左F1を用いることで、胡椒味が消えたのです。これにより、この症状は交感神経亢進と捉えました。
症状の連動と治療の複雑化
しかしここで、新たな問題が発生しました。胡椒味の唾液が出た後、過敏すぎる嗅覚が現れるというのです。このままでは、交感神経亢進と副交感神経亢進の井穴が入り乱れてしまいます。
漢方医学の役割
そこで、漢方医学を取り入れることにしました。味覚障害に対しては、滋陰方を用いて成功した経験があります。敏感すぎる嗅覚についても、現時点では陰虚化熱と判断し、滋陰と清熱を用いることが適切だと考えています。漢方治療で一貫した対応が可能だと思いますが、これは患者の愁訴が大きく変わらないことが前提です。
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