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范志良版輔行訣心心臓病の心包実証解説

漢方医学

以下は范志良版輔行訣の心、心包臓病の心包における病機条文と配薬、そして経方医学的な方意解説である。

心包の病機・心包実証の条文と配薬(原文)

心胞气实者,受外邪之动也。则胸胁支满,心中澹澹然大动,面赤目黄,喜笑不休,或吐衄血。虚则血气少,善悲,久不已,发癫仆。

小泻心汤:治心气不足,吐血衄血,心中跳动不安者方

黄连 黄芩 大黄各三两

右三味,以麻沸汤三升,渍一食顷,绞去滓,顿服 。

大泻心汤:治心中怔忡不安,胸膺痞满,口中苦,舌生疮,面赤如新妆,或吐血、衄血、下血者方。

黄连 黄芩大黄各三两 芍药 干姜炮 甘草炙,各一两

右六味,以水五升,煮取二升,温分再服,日二。

日本語訳

心包の病機

心包の気が実している者は、外邪を受けて病態が動いた状態である。この場合、胸や脇腹に張り(支満)が生じ、心臓が動揺し(澹澹然と大動)、顔が赤く目が黄色になり、絶え間なく笑いたがったり、あるいは吐血や鼻血が出たりする。

心包が虚している場合は、血気が少なく、悲しみがちになり、それが長引くと、てんかんや卒倒(癲仆)を引き起こす。

小瀉心湯(心包):

心気不足があり、吐血、鼻血、心中跳動不安がある者を治す処方。

大瀉心湯(心包):

心中動悸不安(怔忡不安)、胸やみぞおちの詰まり(胸膺痞満)、口中が苦く、舌に口内炎ができ、顔が赤く、あるいは出血がある者を治す処方。

経方医学的解説

心包気実(実証)

  • 病態:
    外邪が心包に内侵入し(受外邪之動)、胸中の気機が実熱により塞がり、昇降出入が激しく不利となった状態である。これは心包に痰熱などの病理産物が存在するか、無形の熱(鬱熱)が充満した状態に相当する。
  • 症状との対応:
  • 胸脇支満: 胸(縦隔)や脇(膈)の気機不利による気滞や痰飲の存在である。
  • 心中澹澹然大動、面赤目黄: 胸中の熱が心神(心包)に波及し、心神が亢進(熱)した状態である。赤色や狂笑(喜笑不休)は心神の陽熱亢盛の現れである。黄は熱邪の亢進や湿熱の存在である。
  • 吐衄血: 熱が血脈を損傷し、血が脈外にあふれた血熱による迫血妄行である。

小瀉心湯(心包)(黄連・黄芩・大黄)方意:

心気不足をベースに血熱が顕著な証に使用する。苦寒の薬(黄連・黄芩・大黄)で心、心包、胸、心下に及ぶ熱を清熱瀉火し、涼血止血する(瀉心湯に同じ)。特に吐血・鼻血(血熱)の症状に対応し、血脈の損傷(心気不足)による出血を治療する。

※この処方の「心気不足」は、心火亢盛による相対的な心気(狭義の気)の消耗を指すと考えられる。

大瀉心湯(心包)(黄連・黄芩・大黄・芍薬・乾姜・甘草)方意:

小瀉心湯(心包)よりも熱邪や心神動揺が重篤で、胸膺痞満(胸の詰まり)を伴う証に使用する。小瀉心湯(心包)の苦寒瀉熱に加えて、芍薬(脈中の営血の還流を促し、気血を斂める)と乾姜(温中して寒を散じ、昇降を助ける)、甘草(和中・守胃)を配合する。熱による心下痞満や心神不安(怔忡)に対応し、熱邪を清瀉しつつ和解を図る。乾姜は胃寒(心包の熱とは別に存在する)や痞満の裏寒を散じ、芍薬は熱による腹痛を緩解する。

 

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