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大補肝湯の病機

漢方医学

いよいよ肝病の最後である。
大補肝湯証の症状を見てみる。

治肝气虚,其人恐惧不安,气自少腹上冲咽,呃声不止,头目苦眩,不能坐起,汗出心悸,乾呕不能食,脉細而结者方:

 肝気虚で恐れ不安あり。少腹、喉に上衝。うなり声止まらなく、強い眩暈、座ることできず。発汗や動悸、吐き気があり食べられない。細脈で結脈がある。
 「其人恐惧不安」
 これはそのまま肝気虚の最小公倍数的な条件ということで良いであろう。
 「气自少腹上冲咽」
 自ら少腹という部分は奔豚悸を連想させる。苓桂朮甘湯証第38条で気従少腹上衝の解説では腎気上衝して胸や喉を衝く(江部洋一郎経方医学3p80)。
 「呃声不止」
 呃声、というのは不勉強な私の知識ではなんのサインか分からずじまい。持っている資料もぐぐっても出てこない。 現時点では呃逆つまり吃逆(しゃっくり)経方医学でいうと噦(えつ)とさせて頂く。判明次第訂正したい。
 噦の原因は胃気の上逆(江部洋一郎 経方医学6 p97-100)である。
 「头目苦眩」
 眩暈は腎気の上衝、胃気の上逆どちらの可能性もある。
 「不能坐起」
 全身の気虚を表している。
 「汗出心悸」
 腠理の開合失調で発汗。腎の上衝により心悸出現している。
 「乾呕不能食」
 先の通り胃気の上逆があり。食事もできない。
 「脉細而结者方」
 ここに来て脈症が登場した。細脈は陰、気、血虚いずれもあり得る(江部洋一郎 経方脈学p82)。結脈は不整脈、時々止まる。心気陰不足などである(江部洋一郎 経方脈学p84)
 結脈は比較的珍しい兆候であることを考えると、心悸があり結脈があるとすると血痺虚労証の炙甘草湯証がある(江部洋一郎 経方医学2 p39-42)。合わせて導きだ去るのは心の気陰両虚である。
 なぜ、ここで脈証が記述されたのか。この脈証がない場合、心虚は明らかではないからだ。小瀉肝湯のような夢も見ないので。心包への熱の伝変はない。
 これ以外に各症状に関わり、しかし条文上前面には出てこない病機としては心下の飲の存在である。治方まで読むと旋復花を使用していることから心下に飲が結していることが分かる。

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