大勾陳湯は経方医学ではほぼ甘草瀉心湯にあたる。
以下に条文を挙げる。
大勾陳湯
治天行熱病、脾気虚、邪気入里、腹中電嗚切痛、呕吐下痢不止者方。
甘草人参各三両半夏一升生姜黄連二両黄苓二両大棗十二枚、去核
右七味以水ㄧ斗煮取六升、日三。
意訳を記す。
以下のような人を治す。
治天行熱病
外感病で熱病
脾気虚
脾に気虚がある。
邪気入里
裏に邪が入る。
腹中電嗚切痛
蠕動が強く音が鳴り、強く痛む。
呕吐下痢不止
嘔吐と下痢が止まらない状態。
再度申し上げると、経方でいうところの甘草瀉心湯である。 消化器病治療目的ならば誤下の条文である。経方医学4の解説を参考にすると、人参が入るべきことは確からしい。ここで答え合わせになっている。さすが林億だ( 経方医学4p219)。輔行訣ではちゃんと入っていた。
経方医学で察すると病機は以下の通り。素体は胃気が弱く、日数は書いていないものの、邪に裏に入られた。胃気虚が強い。胃気不守で胃気上逆して嘔吐。また胃気が游溢 して心下、膈を通じて肌気に達して発熱。また胃気の供給が落ち、小腸絡は阻絡して痛む。小腸分別は失調して下痢している。
経方医学での治方は以下の通り。人参、甘草、大棗で守胃して胃津を増やし生姜を伴い胃気を鼓舞させる。守胃ができるようになり、さらに半夏生姜で吐き気嘔吐を制する。黄芩黄蓮で心下、膈、肌気の熱を清する。また胃気が小腸に供給され疎絡され腹痛が消失。分別が復活して下痢を治す。
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