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大瀉脾湯の病機

漢方医学

最初に大瀉脾湯の条文を挙げる。

大泻脾汤

治腹中胀满,乾呕、不能食,欲利不得,或下利不止者方:

附子一枚,炮乾姜甘草三两黄芩大黄芍药各一两

右方六味,以水五升,煮取二勤务员,温升再服,日二。

腹中胀满

乾呕不能食

欲利不得

この場合の利は尿のことと判断。後述する。

或下利不止

下痢が止まらない。

病機を治方からも含めて検討する。

胃気の低下が前提とする。胃気の供給低下で脹滿(経方医学1 江部洋一郎 東洋医学出版社 p239)、守胃出来ず上逆して乾嘔不能食。

問題は欲利不得。尿のことなのか、便のことなのか分からない。尿のことならば尿をしようとしてもでない。つまり尿不利。そして便のことならば便をしようといきんでも出ないということ。便不利。次の条文の「或下利不止」はあるいは下痢が止まらずとある。便が出そうとしてもでず。あるいは下痢は止まらずが或いはの「or」で結ばれるのは、変だ。糞詰まり?。やはり変だ。よって膀胱刺激症状の状態と判断した。

すると、胃気の低下で腎気への供給も落ちて腎気となり、(尿の)欲利不得となる。

 黄芩を用いていることを考慮する。清熱の対象はどこか。肺,胆,膈,小腸および膜理の熱のいずれか(経方薬論 江部洋一郎p12)である。内外でいうと内であり、胆、膈、小腸ということになる。しかし大小瀉肝湯で共通する「痛み」はない。膈については胃気虚があるので、守胃できずに熱が膈に移る可能性がある。小腸にも相対的な虚熱がうつる可能性がある。よって(小腸、もしかしたら膈も含む可能性がある)。但しここで腐穢となっても良いのだが、下痢が強く湿熱が逃げるためか黄疸の所見は条文にない。

 後半をまとめると小腸が化熱していて、熱は膀胱に及び膀胱刺激症状の状態となっている。

 これまで、肝病、心病、心包病における大-小-の違いは胃気の有無で説明できることが多かった。しかし今回、大小瀉脾湯とも胃気は低下(陽虚)は共通。そして清熱剤が採用されていることから、大瀉脾湯証において裏に熱邪が併存している。

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