【要旨】杖道の基本技である着杖は、相手が動いた後に対応する「後の先」の原則に基づく。しかし、実戦でこの技を使うのは恐ろしく、自信が持てない。ある稽古で、この原則に反するような指導を受けたが、理解に迷いを感じた。
基本の技が最も重要
だから基本は何度も練習させるために一番最初にくるのだ。
そんなことを言った某拳法のことを思い出した。
杖道の稽古が中止に
先日夜。これから稽古に向かおうと着替えていた矢先だ。杖道の師範から急な杖道中止宣告の電話が入った。
車で出ようとしたら、ひどい天気で運転できない、というのがその理由。
その夜岩手県盛岡市に線状降水帯が乱舞して、バケツをひっくり返したような雨がじゃーっと降ったり小雨になったりしていた。それが局所的らしくて当方は小雨、しかし師範の家近くは土砂降りだったのだろう。
稽古予定がなくなった夜は
急に予定がなくなったので景気付けにふるさと納税でゲットしたたらば蟹を2つムシャムシャと舌の上を転がすように味わいながら食べた。 先ほどの、バケツから水ぶっかけらたような雨で、身体が冷え、入浴しても治らない。仕方なく葛根湯を一包、さらに30分後に一包飲んだところで、熱くなってきた。寒気が消えた。漢方はこんなところにさり気なく聞く。
余った時間での座学
余った時間は杖道の座学だ。
YouTubeで杖道関係で集めたビデオを順に見ていっている。
特に西岡常夫氏の解説ビデオがお気に入りだ。
その中で、ふと手をとめた(ビデオを一時停止にした)セリフがある。
「これ一本で良い。」
そんな技があるのかと思えば着杖(つきづえ)だった。
着杖とは
着杖は制定杖道12本の中の1本目の型である。
某拳法で言うところの基本だ。
これ一本でいけちゃうのか。
杖道の原則と実戦での難しさ
杖道も杖術も後の先が原則だ。
つまり相手が、ここでは太刀側が打ち込んだ後に杖側が動作を開始するのだ。
その戦い方は理想的だ。
相手が撃ってこなければ仕掛けないのだから。
しかしその思想はあまりにも高度で、私には実戦でそんな恐ろしいことはできない。身を守れる自信が無い。やはり杖道を実戦では使わない。
実戦では使わないけどそのうような技術体系はとても興味深々である。
着杖の技の詳細
ビデオ解説を観ると、最初杖を立てている状態は太刀への誘いだという。手を切ってきたら相手の顔や喉に杖先を届かせる。なるほど突きはどの武道でも有効だ。型では太刀は手を切らず(つまり誘いには乗らず)、杖側の頭から一刀両断するように打ち込んでくる。それを右後ろに避けて小手に杖を打ち込む。
その後それを避けた太刀側は引いてすぐに杖側に打ち込もうとする。
杖側は相手が打ち込もうとするのに対して実際撃ち込まれたら撃ち返す気で構える。
そこで実際に打ち込まれないことを確認して相手左小手を打って収める。
最近の稽古での疑問
しかし、だ。実は先日太刀側がさっと太刀を持ち上げたとき、杖側がすかさず左小手に打ち込むようにと習った。最近上段者からそう習ったというのだ。
私はこれは間違えではないかと思えてしまう。理由は大原則である後の先に反する。
怖くても相手が撃ってくるまで我慢。それが杖術そして杖道の大原則。
怖くて我慢できずこちらから攻めると負ける技だからだ。
でももしかしたらもっと奥ゆかしいことが理由になっているかも知れない。
問題意識でもやもやしながら来週の稽古を待とう。
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