【要旨】杖道における「動かない太刀」を捌く技法は、単なる防御ではなく、高度な技術と判断力を養うための重要な稽古である。相手の太刀が動かない状態を捌くことで、正確さやスピード、間合いを研ぎ澄ますことが求められる。この型は、開祖が動く太刀を正確に捌くために考案したものであり、その重要性は修練を重ねることでさらに理解される。上達すれば、太刀の動きに対して即座に反応できるようになる。
打ち込みの重要性
杖道において、太刀をこちらに向けた状態を杖で打ち払う動作は非常に重要な技法の一つである。これは単なる攻撃の回避ではなく、相手との間合いを測り、正確に反応するための高度な技術が含まれている。
技法の焦点
この技法は、相手が振りかぶり、太刀を振り下ろす、あるいは突きを行う瞬間に焦点を当てている。相手がそのままの状態で動きを止め、杖によって捌かれるのを待つという点が特徴的である。この場面での「動かない太刀」は一見すると不自然に感じられるが、実は非常に深い意味を持つ。
「動かない太刀」の稽古の意義
この部分を特に重視し、「打ち込み稽古」として繰り返し練習することが杖道の修練の一環である。この稽古では、相手の太刀が動かない状態に焦点を当て、杖を使った技の正確さとスピード、そして相手との間合いを研ぎ澄ますことを目的としている。当初は、このような動かない太刀を捌くことに意味があるのかと疑問に思った。
「動かない太刀」の重要性
しかし、最近になって、この「動かない太刀」を捌くことの重要性がさらに理解できるようになった。もし仮に型とはいえ太刀が動いている状態で捌かなければならないとしたら、非常に困難な技術となる。なぜなら、太刀が動いている瞬間にそれを正確に捌くには、相当な技術と判断力が必要だからである。それを身につかせるために開祖が考え出したのがこの型なのだ。
後の先の考え方と反撃
ここで重要なのは、太刀が動いている状態から体を躱し、適切な位置に太刀を誘導することである。杖側が太刀に触れることなく、しかし少しの誤りで切られる可能性がある微妙な間合いでの捌きが求められる。この「後の先」の考え方に基づき、相手に太刀が当たったと錯覚させる瞬間を作り出し、その隙に反撃を行うことが可能であるのだろう。
上達と動作のタイミング
さらに上達するにつれて、この「動かない太刀」の状態は次第に短くなるだろう。つまり、太刀が打ち込まれた瞬間に杖が捌きに入るという、ほぼ同時に近いタイミングでの動作が求められるはずである
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