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【腱鞘炎】漢方医の苦し紛れで痛みが消えた

刺絡療法

 腱鞘炎の東洋医学的治療というのは鍼治療と組み合わせて事足りない場合がある。
 実は外来患者さんで腱鞘炎の方がいらしている。
 漢方、刺絡、お灸、円皮鍼など色々試した。
 幸い明らかな改善した。しかし消失に至らない。
 最近では症状があまり変わらない状態であるのにも関わらず、足繁く通院頂いている。


 私も常に腱鞘炎について検索している。手持ちの書籍、資料、過去の医案は勿論西洋医学、怪しげな治療法まで。

 悩み尽くしているところ、実は私自身二週間前より右手が言うことを効かなくなった。

 なんだか右手を開閉するときに痛む。コップを持つとき、タオルを絞るとき、ふとカバンを置くとき、しまいにはウィンカーを左にすると痛む。左手は何ともない。

 症状だけみると、どうやら恐らく腱鞘炎だ。

 悩みつくしていたら、お前も患者さんの身になって見ろと、漢方の神さまが差し向けたのか。

 右前腕を色々と触れてみた。いくつか圧痛がある。

 やはり常道のH5F5を、刺絡をするか。いや私自身以外打ち手がいない。

 一週間ほど一通り不自由さと痛みに悩んだ。実は痛み止めは使わなかった。あえて漢方も飲まなかった。というのもともかく症状を受け入れて観察したかったからだ。

 するとひとつ、ひらめきを得た。

 もし、針を打つならどこだろうか、と。

 明らかに外関を狙う。ここは筋を緩める作用がある。私が針をしていた時は頻繁に使った。

 試しにそこを少し按じてみた。すると、手の痛みがいっとき抜けた。やや症状が治まった気がした。

 しかし今打てる針はない。

 あああ、もうめんどうだとヤケのヤンパチでさらに15分程度ずっとマッサージ機で当てた。

 前腕外束をぐぐぐっと。

 すると症状がなくなった。

 翌日もない。

 これはもしかしたらいいのかも。

 こんなに簡単に治るのならば、腱鞘炎ではなかったかも知れない。

 早速今度患者さんに会ったら言ってみよう。

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