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肝の発揚作用を経方医学で解釈

漢方医学

 先日のApplePencil活用具体的なアノテーションでたまたま紹介した「肝の発揚作用」についてなかなか味がある話題まで辿れたのでせっかくだから紹介する。

実は「肝の発揚作用」という言い方を聞いたことがなかった。不勉強だ。柴胡6gで昇提作用のような働きをするからそれかなと思っていた。しかし「五行の皮膚疾患(小阪医院 曺 桂植)(中医臨床 東洋学術出版社 2024年12月p49)」に「肝の発揚作用」が繰り返し言及している。これは曺先生にとって大切な用語なのだとしっかり学ぶつもりで調べた。

抽象的な視点にたてば、肝を制するのは皮膚疾患だけではなく他の多くの病機でも重要な視点であることは間違いない。

しかし、なかなか ダイレクトに「肝の発揚作用」という肝の生理機能としての記述を見つけることが出来なかった。

そこでもう一度もとの文献に戻り、そこに書かれている曺先生の言及する病機を確認した。参考にしたのは以下の5カ所だ。

1.発揚機能が低下すると慢性炎症となる。

2.発揚機能を改善すると、皮膚・絡脈に衛気・津液を巡らせることができる。

3肝気滞,肝血療凝滞, 化熱によって、 風 熱上し, 肝の発揚作用の低下する。

4.肝の発揚作用低下に伴い表層,皮膚には衛気・津液が不足しがちになる。

5.(外感邪が肝、腎に侵入すると,)肝の発揚作用低下 に伴い, 表層の衛気・津液の巡りが失調し, 血 の異常による慢性炎症の状態にる。

この記事で紹介されていることを経方医学で解釈してみる。発揚作用とは膈の気の出入りの位置表現と予想した。肺の宣散粛降と絡めて説明する。

肺の宣散で皮の衛気が巡る。胃気による胃の衛気が心下を通って下膈から肌気へ出る。粛降時、膈は還流する衛気の通り道として働く。皮気は上膈を通り胸に向かい心下へ降りる。同様に肌気は下膈から心下を通って胃、小大腸へ向かう。

経方医学ではこのように仰々しくルートを記しいちいちどこが阻滞しているか、不足しているか一方どこに有餘があるかを見極める。細かいことを抜きに、より総論的に表現する。肝の機能が失調すると衛気が出ずに表層の衛気津液が不足する。肌気が出ずに胃気が向かう場所が他に移り発熱する。あるは還流が阻まれて肌気に肌熱が出現してやはり発熱する。まあ肝の発揚作用の異常とはこれらのことなのかも知れないと判断して、ここでTodoを終了とした。

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