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【漢方医学】エビデンスが成り立ちにくい理由

漢方医学

(リライトです)

漢方医学は本来、生薬を自由に組み合わせて、患者の病機や性質に合わせて配薬する。例えば有名な葛根湯を処方したいときは葛根、桂皮、麻黄、芍薬、甘草、大棗、生姜を適切なグラム数で処方していくことになる。

再診されたら症状の変化に合わせて更に生薬を加減していく。その有効性を科学的に、即ち症例対照研究や介入研究で確かめるのは最初から無理なのでそれには触れない。

よって本来の漢方の姿とはいえないが、エキス剤に限定して述べる。

以前某メーカーが更年期のホットフラッシュに対して桂枝茯苓丸エキスの有効性を我が国以外で、介入研究で確かめようとしたという。しかしその有効性は確認出来なかった。

さて、これで桂枝茯苓丸エキスは更年期のホットフラッシュには効かない事が証明されたのか?否である。たまたまその対象集団が桂枝茯苓丸エキスに適応できない人が多く含んだ可能性がある

では、この介入研究で更年期のホットフラッシュに対して桂枝茯苓丸エキスの有効性が確認されたらどうだったのか。即ちそれで桂枝茯苓丸エキスがホットフラッシュに有効であると言えるのか。それも否である。それはたまたまその対象集団が桂枝茯苓丸エキスに適応できる人が多く含んだだけなのだとも言える。

漢方の、ここではエキス製剤であるが、エビデンスを証明するためには対象集団をそのエキス剤に適応出来るであろうという前提で集めるか、或いは症状(ここではホットフラッシュ)だけでランダムに集めるかで研究の意味合いが変わってくる。意味合いというのは研究成果を一般臨床に落とし込む際の扱いだ。つまり、前者ならばちゃんと適応可能な病機や患者の性質を確かめて処方すれば一定以上有効だよということを証明することになる。後者は漢方らしい診察せずとも症状だけで一定以上効くことになる。私としては後者が証明されたら嬉しいのだが漢方の世界では一部の例外を除いて余りそう言うことはない。

まあ漢方エキス剤ですら、介入研究計画には一癖あるということだ。

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