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左F1(隠白)の喧噪

刺絡療法

 以前アップした患者さん

味覚異常を治す目的でF1(隠白)の刺絡をした。

正確には味覚異常ではないかもしれない。

味覚異常の定義は違う味がしたり、全くしなかったりする。

何かを食べて起こる病態を示す。

この方は何も食べて無くても胡椒の味がするのだ。

隠白はその治療点だ!と言いたいところだがそうではない。

味覚異常の定石となる治療点は分からない。

ただし、唾液分泌異常において唾液が粘性か漿液性かで鑑別して治療する知見からヒントを得た(21世紀の医学: 井穴刺絡学・頭部刺絡学論文集 近代文藝社 浅見 鉄男 (著)p291)。胡椒の味が出現するとき粘性の唾液だというのだ。

その日の刺絡は快調だった。

F1から血液を出すほど、確かに胡椒の味は消えて行った。

調子こいていたところで患者さんが言いにくそうに喋った。

「なんかこう、胃が痛い、と言うほどではないのだけど。変だ。」と。

そうなのだ。ここは吐き気を抑える治療点でもあるのだ(別の井穴も合わせて使う必要あり)。

つまり、胃や腸の蠕動が亢進方向に傾くのだ。

これはいけない。咄嗟に、でも落ち着いてF5(竅陰)を少しだけ刺絡した。すると症状が瞬時に消えた。実はこの井穴は副交感神経亢進を抑制する((別の井穴も合わせて使う必要あり)。

なんと井穴刺絡は鋭く効くのか。

逆に刺絡の威力を見せつけられた気がした。

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