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小補肺湯の病機

漢方医学

小補肺湯の条文を挙げる。

小补肺汤

治煩熱汗出口渴,少气不足息,胸中痛,脉虚者方:

麦门冬五味子旋覆花各三两(一方作牡丹皮,可从)细辛一两

右四味,以水八升,煮取三升,每服一升,日三服。胸中烦热者,去细辛,加海蛤一分[两];若苦闷痛者,加细辛一分[两];咳疾不出,脉结者,倍旋覆花为六两;若眩冒者,去细辛,加泽泻一两;咳而吐血者,倍麦门冬为六两;若烦渴者,去细辛,加粳米半升涎多者,乃用细辛,加半夏半升,洗。

煩熱汗出口渴

 熱っぽくて汗が出て、口渇あり。

少气不足息

 息切れしている

胸中痛

 胸の痛み

脉虚

 虚脈

 経方医学では胸痛は枳実薤白桂枝湯や人参湯が挙げられる(経方医学4  江部洋一郎 東洋医学出版社p54)。また結胸証で胸気不利が増悪すると胸痛が出現する(経方医学4  江部洋一郎 東洋医学出版社p15)。要するに胸が絡不通になるほど強い痰が溜まると胸痛が出現する。その治方としては、経方では括蔞薤白半夏湯など胸の去痰を促すのが前提となる。

 麦門冬、五味子ときたら人参が加わると生脈散を連想する。しかしこの配薬には加減も含めて人参は存在しない。実は津液が不足して、煩熱口渇している前提がある。津液が不足すると絡も不通になりやすい背景がある。この証では肺の陰虚があり胸が絡不通となって胸中痛が出現している。津液不足を補おうと胃気が鼓舞され、脈外へ衛気が向かい発汗する。

 虚脈は浮大軟、按じて無力。虚労,亡血,肺瘻,久咳 盗汗,失精の脈である(経方医学 江部洋一郎 東洋医学出版社 p49、p84)。胃気は鼓舞するも津液不足のため陽気を表す力のない脈浮となる。

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