ダイエットにおいて、最大の敵は「空腹感」である。特に、糖尿病発症予防のために1日50gという厳しい糖質制限を行っていると、食事からどうやって十分な満腹感を得るかが成功の鍵を握る。勿論、認知科学を使用して深層心理から根本的に変更することも大事である。そうなれば満腹感を得ることそのものも不要になるかもしれない。しかし以前、認知科学で心身をコントロールしたときもなお、やはり空腹感に悩まされることがあった。だから、このテーマはどんなときも必要なハックだ。
実は、減量期に満腹感を得るためには、意識すべき「ホルモン」と「物理的なアプローチ」が存在する。
1. 「レプチン」に頼ってはいけない理由
食欲を抑えるホルモンとして有名なものに「レプチン」がある。これは主に脂肪組織から分泌されるため、脂肪の量に比例して増減する。
しかし、減量中はこのレプチンに頼ることは生理学的に非常に困難である。
- 減量中のジレンマ: ダイエットが順調に進んで体脂肪が減ると、それに伴って血中のレプチン濃度も低下してしまう。
- 強烈な食欲の増進: レプチンが低下すると、体はこれを「エネルギーの危機(飢餓)」と感知する。これ以上の脂肪減少を防ぐ(または失ったエネルギーを回復する)ために、満腹感を低下させ、食欲を強く刺激してしまうのである。
つまり、「減量が上手く進んでいる時ほどレプチンは減ってしまう」ため、レプチンの力で満腹感を得ようとすることはできない。
2. 狙うべきは腸管ホルモン「GLP-1」
レプチンによるストッパー(脂肪量によるストッパー)が効かなくなる減量期において意識すべきは、「食事の刺激に対する腸管からのホルモン分泌」、すなわち「GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)」などの消化管ホルモンを刺激するアプローチである。
GLP-1は、食べ物が腸管に入ってきた物理的・化学的刺激によって分泌され、食欲をコントロールするホルモンの一つである。断食(ラマダン)を実践した2型糖尿病患者において、GLP-1などの食欲調整ペプチドが上昇し、体重減少に効果的であったとする報告もある。
糖質制限の環境下において満腹感を持続させるためには、以下の方法でGLP-1の分泌を促し、食欲を安定させることが必須となる。
- タンパク質の確保: タンパク質が不足すると食欲が暴走する。1食あたり20g〜40gのタンパク質を分割して摂取し、消化管を物理的に刺激する。
- 食物繊維をたっぷり摂る: 野菜、海藻、きのこなどの食物繊維は、腸管内をゆっくり移動するため、GLP-1などの消化管ホルモンの分泌を持続させ、満腹感を長持ちさせる。
- 良質な脂質を取り入れる: 糖質制限下では、オリーブオイルやナッツなどの良質な脂質が消化管ホルモンの分泌を促し、食欲のブレーキとして働く。
3. 私の実体験:なぜ「物理的に満たす」必要があるのか?
一般的に焼肉を塩で食べる場合の話だが、私の場合、糖質制限中ゆえに塩味の肉のみを大量に食べた際、全く腹が膨れないという現象が起きる。
この現象には明確な理由がある。
糖質(タレやご飯など)を極端に抑えているため血糖値が上がらず、GLP-1(満腹中枢)を作動させるシグナルが出にくいことに加え、何より「私の胃袋が大きい」ためである。
つまり、ホルモンによる満腹感のシグナルが出にくい現在のダイエット環境下においては、ただ食べるのではなく「物理的に大きな胃袋のスペースを埋める」という工夫が、身体のメカニズム上、非常に理にかなった空腹対策になる。
4. 空腹を凌ぐ!「カサ増し」の最強ツール
過食衝動や空腹を抑え、物理的に胃腸を満たす(カサを増す)ために実践している具体的な方法は以下の通りである。
① レモン水の多飲
多量のレモン水を飲むことで、人工的に腹部膨満感を作り出し、物理的なストッパーをかける。
② サイリウム(オオバコ種皮粉末)の活用
本来は便秘対策として導入したものだが、その物理的な特性は「空腹を凌ぐ」という目的にも完璧に合致する。
- 圧倒的な吸水・膨張(ゲル化): サイリウムには水を吸って瞬時にゲル化する性質がある。水200ccに対し本品5g程度を入れ、シェイカーで素早く攪拌すると良い(ダマにならず綺麗に混ざる)。時間経過とともにしっかり固まり、骨髄スープなどに加えるとドロドロになる。
- 胃の中で膨らむ: 多めの水分と共に摂取することで胃の中でゲル状に固まり膨張する。
レモン水の多飲と同様に、物理的な「腹部膨満感」を人工的に作り出し、食欲を抑える効果が期待できる。
まとめ
減量期の糖質制限において、満腹感を持続させるためには以下の2本柱が重要である。
- タンパク質・食物繊維・良質な脂質で「GLP-1」を分泌させる
- レモン水やサイリウムを活用して、胃袋を「物理的に満たす」
空腹感は気合や根性で乗り切るものではなく、身体のメカニズムを理解してハックする。試していこう。


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