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刺絡院内発表を準備しながら

雑記

 刺絡とは何か。

日本刺絡学会の提示している定義はこちらである。

経絡の流注とその主治作用にもとづき、患者の病態に応じて、皮膚・経穴・血絡を選択し、三稜鍼またはその他の鍼具を用いて浅刺し、少量の血液を放出して経絡の気血の流行を疏通せしめ、症状を緩和し、疾病の治癒をはかる方法である。

実際その通りなのだ。要するに血を出して治す治療の1つである。

その中で井穴刺絡とは以下のように定義できる(これは日本刺絡学会の定義としては提示されていない)

井穴(手足の爪脇に存在する経穴)を点状出血で刺激して神経反射を誘発し、治療する刺絡治療の一種である。

私は浅見鉄男氏の研究実践成果というべき井穴刺絡療法を参考に、時に丸写しで治療効果を挙げさせてもらっていた。YouTubeでのビデオもとても参考になっている。

氏の残された成果はまだ消化し切れていないほど多くある。中でも自律神経をコントロールする具体的な井穴をほぼ特定して、臨床応用できたのはもう、眩暈がするほど、土下座したくなるほどの有り難い知識である。

そんな中で、看護師さんたちへの刺絡の院内講義をしていて、気付いたことがある。

ここでは実際に交感神経、副交感神経の各経亢進を実臨床で幾度も確認済の前提で書かせてもらおう。

西洋医学を引き合いに出すと、交感神経亢進の抑制については多くの方法がある。鎮静剤、鎮痛剤、麻酔などが連想される。

では、副交感神経亢進の抑制はどうだろうか。より高位で亢進を抑制できる方法は?

いつも気管支喘息について思いを馳せるのだ。

気管支喘息はアレルギー反応の1つだ。気道が狭くなる。これは副交感神経の亢進といえる。これに対してはステロイドが有効だ。剤形も豊富だ。多くの方が過去現在そして未来救われて行くだろう。

しかしステロイドはどちらかと言えば交感神経の亢進を強く誘発する。それにより相対的に副交感神経の優位性が低下する状態を作ることで効果を出しているとも言える。まあ、薬理学的に言えば噴飯ものかもしれない。まあ吹き出したい人はどうぞ。

この自律神経の支配をバランスをとりながら調節できる井穴刺絡という技を習得した私はつくづく幸せ者だ。

そんなことを思いながら粛々と2回目の講演に向けてスライドの準備を進めている。

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