小泻脾汤
治脾气实,下利清谷,里寒外热,腹冷,脉微者方:
附子[一]枚,炮]乾姜甘草(炙,各三两
右三味,以水三升,煮取一升,顿服。
治脾气实
脾の実証
下利清谷
清穀下痢
里寒外热
裏寒で外熱
腹冷
腹が冷えている
脉微者方
脈微を呈している。
配薬は四逆湯だ。大きい枠組みで言うと、少陰病における亡陽証(あるいは格陽)から伏陽証にかけての臨床像一部を切り取った感じだ(江部洋一郎 経方医学5 東洋医学出版社 2015年p144-158)ということに気付く。傷寒論において症状は亡陽証。しかし脈証が伏陽証となっている(江部洋一郎 経方医学5 東洋医学出版社 2015年p144)。おそらく亡陽証から伏陽証の間はなめらかに連続変化しているからなのかも知れない。
裏に寒があり清穀下痢、腹はそりゃ冷える。しかし外熱があるから脈証は浮脈かと思いきや、微脈。まあ陽虚(経方脈学 江部洋一郎 東洋医学出版社 p83)で良いと思うのだけど浮沈の情報がこれだけでは不祥だ。もし浮脈ならば亡陽である。沈脈ならば伏陽寄りだ。しかし、そうなると傷寒論315条白通湯や霍乱病だ。
また実つまり邪が脾に居着いているといことは、腐穢(傷寒論287条 脾実家)を連想する。しかし私はその可能性は否定的である。そう判断する理由を以下に記す。腐穢の場合湿邪である。そして腐穢は黄疸が出現する。黄疸出現の条件は尿不利である(経方医学5江部洋一郎 東洋医学出版社p134)。しかしこの証に黄疸はない。また陽明の寒証というのは脈証からも否定的だ。よって、腐穢とは別であると考える。
では、何の邪なのだろうか。それは現時点では不祥である。
経方医学1の四逆湯の処方解説(経方医学1江部洋一郎東洋医学出版社p202)そのものになってしまうが、そのまま解説する。胃腎陽気が極端に虚した状態。当然腹は冷える。胃気供給腎気化作用の低下で小腸の分別失調して清穀下痢。表裏の陰陽が開離してしまい、格陽となり、それが裏寒外熱となる。浮脈ほど致死的である。微脈は陽虚(先述)を示すのみ。
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