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昇陥湯、補中益気湯の適応

漢方医学

  倦怠感がある方に処方する場合、代表処方として補中益気湯(エキス剤)、そして同じような系統で昇陥湯(しょうかんとう)がある。倦怠感症状に着目すると、補中益気湯は中気下陥(胃脾の気が虚することで起こる倦怠感)、昇陥湯は大気下陥(肺が虚して下がることで起こる倦怠感)ということになる。

  多忙な一般外来では倦怠感がある方には特に細かく四診を取らずに補中益気湯エキスを処方することが多い。もちろん、本当はより確実に適応を検討するためにも、四診をした方がいい。しかし多忙な外来でそれをする時間はやはりない。だからとりあえず補中益気湯を処方する。それで結構効いたりもする。

   しかし、昇陥湯は違う。生薬での配薬が必要だから、どうしても四診する。四診することで迷いが生じる。もちろんそれは私が十分四診を、四診から導き出す病態の治療法が十分わかっていなかったからだと思う。

   先の10歳未満の子のエピソードもそうであった。黄耆建中湯加減を処方したがほぼ無効で、昇陥湯加杜仲が著効した。実は昨日の60歳代の方も、同様なことがおきていた。滋陰剤に黄耆を加えた加減でほぼ無効だった。そこでその方の過去の処方を紐解くと、同様の症状に対して昇陥湯加減を処方している。

じゃあ倦怠感なら昇陥湯処方すればいいじゃないかと思える。しかし脈に明らかな根があれば、例えば玄脈があれば避けるのだ。

しかしそれはどうやら拘るべきではなかったかもしれない。

倦怠感症状が主訴ならば、昇陥湯を基礎に組み立てて良いのかも知れない。

本当にそれでいいのか、昇陥湯と黄耆建中湯の適応を突き詰めておきたい。

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