今から20年位前に 経方医学に出会った。
当時漢方に興味を持ち理論を勉強しても頭に入らない。
論理的に読もうとすればするほど、整合性を見いだすのが困難。
症状と症候、治療につながるフローがまるで分からない。
結局、この症状にはこのエキス方剤という風に当てはめることしかできないでいた。そうかといって捨てる気にもなれなかった。なぜなら何だか効いてしまうのだ。だから漢方に好奇心を削がれることはなかった。
そして今、私は断言できる。経方医学は明快で分かりやすい。
もう一つの魅力は非常に動的であることだ。病機や方意が、動くのだ。
経方医学であれこれと思いを巡らす頭には気の流れがアニメのように浮かんでいる。
恐らく経方医学で処方を検討出来る人は皆そうしていると思う。
その動く病機や方意が、例を挙げると肺の宣散、粛降だ。
宣散障害の場合、肺気の宣散先である皮毛、と心、心包への気の流入状態で判断する。また脈の遅速は心包へ流入する肺の宣散量に応じる(経方医学1 江部洋一郎 東洋医学出版社 p71)。
粛降には第一、第二粛降がある。障害には肺そのものの障害、肺気の流れの途中の障害がある(経方医学1 江部洋一郎 東洋医学出版社 p31)。
第1粛降は、肺から心下、第2粛降は、心下から小腸を経て大腸、腸、膀胱だ(経方医学1 江部洋一郎 東洋医学出版社 p31)。
宣散粛降障害は問診で疑い、切診と合わせて確信に変え原因を明らかにして、方剤を当てはめ、加減していく。
この当たり前な流れを経方医学は私に当たり前にできるようにさせてくれた。
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