漢方エキス剤をすでに処方している医師の多くは、「生薬処方はもっと難しい」「専門知識が必要で自分にはまだ無理」と感じているかもしれません。しかし、実際には、エキス剤処方の経験がすでに生薬処方の大きな土台になっています。本記事では、生薬処方を学び始めることで得られるメリットと、エキス剤処方との関連を解説します。このあとを読むことで、「自分にもできる」と思えるきっかけを見つけられたら幸いです。
エキス剤処方は、生薬処方の基礎そのもの
漢方エキス剤を処方できる医師は、生薬処方の基礎をすでに持っています。
漢方エキス剤は、原則として生薬を煎じたエッセンスが凝縮されたものであり、その処方理論や適応症は、生薬処方と共通している部分が多いからです。
例えば、柴胡加竜骨牡蛎湯のエキス剤を使った経験があるなら、その処方に含まれる生薬(柴胡、竜骨、牡蛎など)の役割を知れば、生薬単独での応用も理解しやすくなります。すでにエキス剤を使いこなせているなら、その知識が生薬処方に直結しているのです。
生薬処方を学ぶと治療の幅が大きく広がる
生薬処方を取り入れることで、エキス剤では対応しきれない症例にも対応できるようになります。
エキス剤は便利ですが、成分が一定量に固定されているため、症状に合わせて微調整する柔軟性がありません。一方、生薬処方なら、患者の状態に応じて適切な生薬を追加・調整できます。
例えば、慢性の咳症状を訴える患者に麦門冬湯エキス剤を処方する場合、効果が不十分なら、杏仁や五味子といった生薬を追加することで、症状にさらにフィットした治療が可能です。こうしたアプローチができるのは、生薬処方ならではの利点です。
生薬処方を学ぶことで医師としての自信が高まる
生薬処方に挑戦することは、漢方治療における理解を深め、医師としての専門性をさらに高める大きなチャンスです。
生薬を使った処方は、患者ごとに本当の意味でのオーダーメイドの治療ができるため、「その患者に本当に必要な処方」を実現しやすくなります。つまり対応出来る疾患、症状の幅が大きく広がる事に繋がります。
実際に、生薬処方を学び始めた医師の多くは「症状への対応力が上がった」「患者からの信頼がさらに高まった」と感じています。日々の診療で患者に寄り添える手段が増えることは、医師としての成長にも繋がります。
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