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お前は漢方身につくのが早いな

漢方医学

8月に漢方講演会依頼をされている。

二部制に構成し、そのうち一部は漢方の習得までをお話する予定。因みに後半は刺絡のこと。

主催者のお話では前半は切実で、どうやったら漢方を身につけることができるかのテーマは需要があるという。

確かに初めのうち、漢方を身につけるのは苦労した。

そしていつも思いだすのだ。

入職後、半年程度だったか、師匠に言われた言葉を。

「お前は漢方身につくのが早いな」

余りにもさらっと言われたので、深く考えずそうですかありがとうございますとしか言わなかった。

後年になるほど思い出すと、えらいこと言われたと思える。

確かに、恥ずかしいほどしか漢方を知らずに近畿の師匠の元に入職して、その後半年程度で曲がりなりにも生薬を扱い、処方ができるようになっていた。

入職したその年の京都漢方シンポジウムのトップバッターを務めはじめ、同会が休会するまで続いた。

特に記憶力が高いわけではない、要領も悪い。的はでかくて逃げ足が遅い私。

思うに漢方は自転車のようなものだ。

乗ってしまえば何故乗れなかったのかが理解出来なくなる。

自転車に乗れてしまうまでの流れは幾つかある。

どんな方法でも、何かをてがかりにしても良いだろう。

だから私が漢方を習い始めた時の方法で全員が身につくかと言えばそんなことはないと思う。

でも書き残したいと思う。

漢方を身につけた方法は以下の通り。

良い師匠に出会う。

その師匠の言う通りにする。これを読む人に強くここをしつこく言う。自分の意見はひっこめてまずはその先生の言う通りにする。

先生の症例ノートを自分なりにまとめ、検索可能な状態にする。私は最終的にはEvernoteに入れた。

切診の感覚をコピーする。真似る。

師匠の理論に基づき、先生に説明できるようにその患者の症状が何故出現したのかをきっちりとカルテに書く。

外来で師匠に処方を添削してもらう機会を得る。

傷寒論金匱要略をテーマを決めて読破する。幾度も読む。

中国語で医古典を辞書片手で読めるようにする。勿論せっかくの和訳された本があればそれを読み込む。

以上が漢方修行スタート時の内容であった。

近畿の病院入職から6ヶ月目では、師匠のノートに基づいた処方を自分の外来でするようになっていた。勿論最初は全部覚えている訳ではなかった。当時はPCにデータを入れ検索をかけたら師匠の当該処方がヒットするようにした。それにより師匠に近い配薬をしていたものだった。勿論その光景を患者さんに見せるわけにもいかない。だから患者さんをまず外来の外に出してからうんうん唸って書いたものだった。

師匠の症例集だから効くに決まっている。また、効きにくい場合は、やはり師匠にうかがいやすかった。そうこうしているうちに検索かけるのが面倒になって、ほとんどPCを見ずに配薬するようになった。

その結果、「お前は漢方身につくのが早いな」と言われたのだ。

タネを明かすとそんなものだ。たいしたことなんてない。

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