対訳蕉窓雑話では大黄と附子についての関係を附子瀉心湯を例に挙げて解説している(対訳蕉窓雑話 福岡・蕉窓雑話を読む会 たにぐち書店p124)。
瀉心湯類は心下は柔らかい。大黄と附子を使う方剤における腹証について本書では、
「背中の方にがっちりとついている」
と表現する。
以下の「」は同書の同頁からの引用である。
大黄で「ぐっと押していく」が、それで足りず附子で「浮かせる」ことできかすというのだ。
瀉心湯類の大黄、附子に限らず、「この類方に附子をあもちいるのは腹底にがっちりついている病を動かし浮かせる」のだという。
それは「大黄附子湯でも同様」であるという。
(以上対訳蕉窓雑話「」の引用終了)
大黄附子湯は腎虚が原因で後膈より邪が膈にまで入り込む。附子で腎気を鼓舞し細辛で膈、心下、小腸、腎へと気を引っ張る。さらに邪ごと大黄で小大腸へ下す(経方医学6p45)。
その一方で附子瀉心湯も少陰の病( 経方医学4p210)、つまり腎虚がベースである。
ということは少陰病として、というより腎虚がベースにある時、もし心下に実邪がなければ、腹診ではべたっとあるいはがっちりと心下が底にまで触れてしまうのではないか。そして当然脈証は沈となる。
附子の役割が「浮かす」というのは、腎虚を治して後通の気を通じて瀉す方向に促す役割があるのではないか。
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