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漢方医学

『輔行訣』探求、新たな段階へ!〜注釈を排し、本文に宿る「湯液経」の真髄を探る

『輔行訣』の解説記事、心臓病(心病)に関する更新が滞ってしまい、申し訳ありません。 医学古典の探求は、まるで砂を掴むような作業です。渾然とした膨大な文献を読み込み、手に握って開いてみると、確からしいことは指の間からサラサラとこぼれ落ちていき...
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【経方医学研究会】発表症例はひとつ

抄録の内容がついに決定した。経方医学研究会での発表についてだが、ルールは「1つの発表につき症例は1つ」とのこと。 持ち時間はトータルで30分。内訳は発表15分、質疑応答15分だという。なげー。正直、長い。 まあ、そうする条件と言うことだから...
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【経方医学】懐かしい感触

普段あまり、というか全くと言って良いほど、経方医学について口にすることはない。他の医師からエキス剤についての問い合わせは少なくないが、なぜ効くのかといった理論的な話にまでは踏み込まない。このブログで症例報告をすることはあっても、かつてのよう...
漢方医学

3年目の人参湯

80代の女性が外来を訪れた。「X医院で胃カメラ検査を受けたが異常はなく、『かかりつけ医に診てもらうように』と言われた」とのことである。一見して、事情が飲み込めない。患者の表情には、焦燥感と諦めが入り混じったような色が浮かんでいる。落ち着いて...
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処方から読み解く心包の「代受」:大瀉心湯と小補心湯の戦略

心包の「代受」は、単なる理論ではなく、具体的な薬物構成の中にその治療戦略として落とし込まれている。邪気を代わって受ける心包の病態は、熱の極致(実証)と気血の虚弱(虚証)の二極に現れ、それぞれに大瀉心湯と小補心湯(心包)という対照的な処方が用...
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「心包代受」の語句に揺れる『輔行訣』探求のモチベーション

『輔行訣蔵腑用薬法要』(以下、『輔行訣』)の精読を深めるうち、心包に関する記述で一つの大きな疑問に直面し、探求へのモチベーションが揺らいでいた。それは、心包の病態を解説する条文に付随する、以下の引用である。「経云: 諸邪在心者, 皆心胞代受...
漢方医学

『輔行訣』心と心包の相違

古典医学書『輔行訣』において、「心」と「心包」の病態は明確に区別されている。これらは単に解剖学的な違いではなく、病の発生源、性質、そして治療法という観点から、その本質が異なっているのである。1. 「心」の疾患の焦点:機能の詰まりとエネルギー...
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【経方医学】ある日「胸」から「脳」に棒が出た

経方医学では、各臓腑が独自の器官構造のもとにあり、それらの関連性を示すため矢印が引かれている。胸膈(きょうかく)や心下、その周辺には肺、心、心包、下方には胃などが配置され、その配置はしばしば「UFO図」などと形容される。私が(師)の講義を聴...
漢方医学

補心(包)方は必ずしも補剤にあらず

1. 序論:動悸・不安の根源は「心包の虚」と「胃気の乱れ」にあり現代の臨床において、自律神経失調症や不安神経症に起因する動悸(怔忡)、虚煩(胸中のざわつき)、善悲(不安感)といった心神の動揺は、極めて頻繁に見られる病態である。これらは単なる...
漢方医学

引落打の杖の軌跡に思う

先日の、杖道を居合術のような気持ちで見直す話の続きである。数ある構えの中で、引落打の構えほど、対太刀戦で絶望的な構えはない。本手の構えや逆手の構えはまだ、太刀が守備範囲に入らないようにしている。しかしこの引落の構えは、切ってくれと言わんばか...