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経方医学

漢方医学

3年目の人参湯

80代の女性が外来を訪れた。「X医院で胃カメラ検査を受けたが異常はなく、『かかりつけ医に診てもらうように』と言われた」とのことである。一見して、事情が飲み込めない。患者の表情には、焦燥感と諦めが入り混じったような色が浮かんでいる。落ち着いて...
漢方医学

昇陥湯を導入した膀胱刺激症状、倦怠感の症例その後

先週紹介した、倦怠感と膀胱刺激症状を呈する患者さんである。  以前報告したとおり、西洋医学的に泌尿器科と連携して治療を進めていたが、症状は小康状態を保つも著効とは言えなかった。そのような中、その症状が大まかに昇陥湯の証であることに気づいた。...
漢方医学

范志良版『輔行訣』心臓病病条文と日本語意訳

本稿では、范志良版『輔行訣』における心臓病証に関する条文を引用し、その現代日本語訳を提示する。辨心臓病証文并方心虚则悲不已,实则笑不休。心病者,心胸内痛,胁下支满,膺背肩胛间痛,两臂内痛,虚则胸腹胁下与腰相引而痛。取其经手少阴、太阳及舌下血...
漢方医学

范志良版『輔行訣』肝虚証の経方医学的考察

以前アップした肝病について、肝虚編である。元の条文を挙げる。小補肝湯治心中恐疑,时多恶梦,气上冲心,越汗出,头目眩晕者方。桂枝 干姜 五味子各三两大棗十二枚,去核(一方作薯蓣,当从)右四味,以水八升,煮取三升,温服一升,日三服。心中悸者,加...
雑記

范志良版『輔行訣』における肝実の経方医学的考察

范志良版『輔行訣』に記載されている肝病の中の肝実の条文について解説する。条文は前回記述しているので参考にして欲しい。今回肝実の病態とその治療原則を考察する上で経方医学の観点から重要な手がかりを提供したい。共通するのは、どちらも「瀉す」という...
漢方医学

『輔行訣』を経方医学で読み解く方針

『輔行訣』には、これまで紹介したように少なくとも21ものバージョンが存在する。そして、そのすべてのバージョンの正確性や信頼性は等しいわけではない。したがって、これらを平等に扱うことはできない。単純な多数決で「正しい」内容を導き出すことが困難...
漢方医学

輔行訣各バージョン覚え書きその4

前回に引き続き、10個目の輔行訣のバージョンの日本語意訳を覚え書きとしてここに記す。全12バージョンある。十. 『輔行訣』張偓南別集本 (1980年6月)この文献は、縦18.1cm、横10.6cmほどの大きさで、毛筆で縦書きされています。表...
漢方医学

私の輔行訣引用元から

輔行訣には幾つかバージョンがある。その中で私は面倒だから?一番最初のページに書いてあった、「范志良抄本」というバージョンを使っている。中身をそのまままるっと出すとチャイナに逮捕されるので、簡単に書き込む。「輔行訣五蔵用薬法要伝承集」によると...
漢方医学

【漢方】「今も続けています」と胸を張って言うために

現在、漢方の講習会で使うスライドを作成している。テーマは「漢方の学び方」。私自身が長年実践し、このブログでも「絶対的な勉強法」としてお伝えしてきた方法に、再び光を当てる機会となった。 その方法とは、「テーマを決めて『傷寒論』を通読する」こと...
漢方医学

「秋バテ」の正体『秋燥』を見逃すな

【漢方医学】秋の不調「秋燥」の病態と対策うだるような暑さが少し和らぎ、夏の終わりである晩夏を迎えた。これからすぐに到来する本格的な秋は、過ごしやすい季節である一方、体が気候の変化に対応できず、不調を感じやすい時期でもある。秋本番を前に、以下...