今日の杖道の稽古は、実に有意義であった。
肩甲骨の可動と小指の使い方が密接に関わっているという理屈を、あらかじめ頭では理解していたつもりだった。しかし、その知識が確かな実感として「腑に落ちた」のは、S先生のご指導を受けていた時のことである。
打ち込みの稽古の最中、突如として先生の鋭い指摘が飛んだ。
S先生:「おぐりん家さん、ちゃんと小指を使うんだ。ほら、このように」
おぐりん家:「はい。こうでしょうか……?」
見よう見まねで小指を意識した途端、驚いたことに肩甲骨がスッと繋がった感覚があった。まるで肩甲骨そのもので杖を操作しているかのような、不思議な一体感である。
実際には小指だけでなく、薬指も連動して作用する。これまでは単に「小指を握り込む」という程度の認識であったが、先日の調査で学んだ「全ての動作は連動する」という理論が、この瞬間に強烈な納得感へと変わった。何より、肩甲骨と指先が結びつくという「内部感覚」が芽生えたことは、私にとって大きな驚きであり、収穫であった。
さて、その感覚を忘れないよう、一人離れて単独動作の稽古に励んでいた時のことだ。内部感覚を慎重に確認しながら、ゆっくりと動いていた私に、別の先生から容赦のない、しかし大切な指摘が飛んできた。
「それでは動きが小さすぎる。小さくまとまってしまっている。もっと大きく動かしなさい」
……なるほど、仰る通りである。感覚を研ぎ澄まそうとするあまり、動きそのものが縮こまってしまっていたようだ。
また、この内部感覚を維持しようとすると、ふと集中が途切れる場面があることにも気づいた。打撃の瞬間に生じる力みをどう逃がすか。半身の切り替えの中に、その解決策が隠されているのかもしれない。これは今後の稽古でじっくりと紐解いていくべき課題であろう。
充実した稽古を終え、控室で着替えをしていた時のことだ。S先生が急に顔を出され、いたずらっぽくこう告げられた。
「忘れるなよ」
そう言って、スッと小指を立てて見せたのである。
「小指のこと、忘れるなよ」と、念押しまでされてしまった。
どうやら、先生との間に妙な「小指の約束」が成立してしまったようである。


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