経方医学では、各臓腑が独自の器官構造のもとにあり、それらの関連性を示すため矢印が引かれている。
胸膈(きょうかく)や心下、その周辺には肺、心、心包、下方には胃などが配置され、その配置はしばしば「UFO図」などと形容される。
私が(師)の講義を聴いていた終わりの方で、新しく棒が出てきた。精神疾患、例えば鬱(うつ)、双極性障害、不安神経症などに対する配薬の説明である。胸(既に設定済みの部位)から新しく「脳」を設定し、そこへ矢印を筆ペンでざっと引いたのだ。私自身、当時の理解度はいまいちであり、心(心包)ではなくなぜ脳を新しく設定したのかについて、「ずるいな」と感じてしまい、深く追求しなかった。
脳が設定されたことは今でも「ずるい」と言いたい。しかし、その線が「胸」から伸びているのがとても印象的である。そして、提示された症例はどれも著効している。
ただ、胸から伸びるべきは、既存の心包あるいは心であるべきだった。
この理論は、もしかしたら「脳」を設定せずとも、心、心包それぞれの大小瀉心湯、補心湯で説明できるのかもしれない。
私は、自分が整理している『輔行訣(ほこうけつ)』における心、心包それぞれの大小瀉心湯、補心湯の処方で、提示された配薬が説明できるのかどうかを確かめたいと考えている。


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