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Google Keepの「削ぎ落とし」に思想を感じる

情報管理

 新しいツールを試すのは、いつだって少しワクワクする。今回私が触り始めたのは、Googleのメモアプリ「Google Keep」である。これまでMacの標準メモアプリとDraftsでメモ環境を固めてきた私が、ひょんなことから使い始めたこのアプリ。しかし、その驚くほどシンプルな機能に触れるうち、単なる「機能不足」ではない、ある種の哲学のようなものを感じ始めた。ミニマルな機能の裏にある「思想」とは何なのか。そんなことを考えさせられた、1日目の記録である。

■ 私の現在のメモ環境

本題に入る前に、私が普段どのようにメモを取っているかについて、少し触れておきたい。私のメモ環境は、主に2つのアプリで成り立っている。

  • メインの保管庫:Mac標準メモ

    長文の記録や、後々まで残しておきたい情報はすべてここに集約している。数年前からEvernoteの機能やデータを少しずつこちらに移行している最中である。フォルダ分けやタグ(#)機能が強力で、Appleデバイス間の連携もスムーズ。まさに私の情報の「母艦」だ。

  • とにかく速い入力装置:Drafts

    思いついたアイデア、やるべきこと、あとで調べる単語など、とにかく「今すぐ書き留めたい」という瞬間的なメモはすべてDraftsが受け止めてくれる。アプリを開けばすぐに入力できる状態になっている、そのスピード感が何よりの魅力である。ここから他のアプリに転送することも少なくない。Apple Watchからの入力も可能だ。

この2つのアプリで、私のメモ環境はほぼ完成していると思っていた。

■ なぜ今、Google Keepなのか?

きっかけは、Googleドライブの容量追加のために「Google One」に加入したことであった。せっかく有料会員になったのだから、とGoogleのサービスを色々味わってみる中で目に留まったのが「Google Keep」だった。

正直なところ、これまで特に必要性を感じていなかった。しかし、食わず嫌いはやめて、一度はしっかり触ってみよう、と。そう思って使い始めたのが、今回の物語の始まりである。

■ 「削ぎ落とす」という思想を感じる

さて、早速Google Keepをダウンロードし、PCのブラウザとiPhoneアプリで触ってみた。

最初に抱いた感想は、「驚くほど、シンプル」であった。

Macのメモアプリのようなリッチなテキスト装飾機能があるわけでもなく、Draftsのようにアクションをカスタマイズできるわけでもない。付箋をボードに貼り付けていくような感覚だ。機能はテキストメモ、チェックリスト、手書き、音声、画像くらいで、本当に基本的なものだけである。

しかし、しばらく触っているうちに、これは「できない」のではなく、意図的に「しない」のではないか、という感覚が強くなってきた。

Googleほどの企業だ。やろうと思えば、いくらでも機能を実装できるはず。それなのに、この潔いまでのミニマリズム。それどころか、以前は対応していたApple Watchアプリの提供を終了するなど、むしろ機能を絞り込む「引き算」の方向に向かっている節さえある。

多機能化こそが正義、となりがちなアプリの世界で、この流れに逆行するような「削ぎ落とし」。ここにこそ、私は何か強い思想のようなものを感じるのである。

「すべてをここでやろうとするな。Keepはあくまで『Keep』する場所だ」

まるでアプリにそう言われているような気がして、その思想の正体が知りたくなった。

■ この「不便益」をどう活かすか

この「機能が限定的である」という事実を、私達はどう捉えるか。現時点での私の仮説はこうだ。

正直なところ、一時的なテキスト情報を書き留めるという用途の多くは、今のところ最速の入力装置であるDraftsでも十分である。しかし、Google KeepにはDraftsにはない、決定的な機能が存在する。それが、写真の添付機能だ。

例えば、駐車場の場所を忘れないように写真でメモする、気になった商品のラベルや時刻表を撮っておく、といった使い方が可能になる。このビジュアル情報をテキストと一緒に手軽に扱える点にこそ、Google Keepを使い続ける価値があるのかもしれない。

この写真機能を軸に考えると、他の使い方も見えてくる。

  • ビジュアルな共有メモとして: 買い物リストに商品の写真を追加して家族と共有する。テキストだけの指示よりも、ずっと分かりやすい。
  • 場所と写真が紐づくリマインダー: 特定の場所に着いた時に、写真付きのメモで通知を受け取る。これもまた、文字だけの情報にはない利便性をもたらすだろう。
■ まとめ:答えを急がず、のんびり使ってみる

というわけで、Google Keepを触り始めた初日の、とりとめのない感想を綴ってみた。

高機能な母艦(Macメモ)と最速の入力装置(Drafts)という盤石な布陣があるからこそ、Google Keepのこの「何もない」感じが、逆に新鮮な魅力として私の目に映る。そして、その限定的な機能の中に、Draftsにはない写真の添付という、キラリと光る可能性を見出した。

この「削ぎ落とす思想」の正体は何なのか。そして、写真機能を中心とした使い方が、私のワークフローに定着するのか。

その答えをすぐに見つけようとせず、しばらくはこの思想とやらを肌で感じるために、評価を急がず、のんびりと付き合っていこうと思う。このアプリが私のワークフローにどんな新しい風を吹き込んでくれるのか、少し楽しみである。

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