(詳細はぼかします。実際の数値も変えてます。)
車の話である。
最近、大きな車の会社同士が合併することが報道され、最終的には破談になったという。詳細は知らないからそれらの経緯や良し悪しの判断はできない。但しその片方の会社の車は私も乗っていた事がある。アルファベットの最後を冠する車である。私は未だにその車を越える車に出会っていない。
私の同僚にその「片方」の車の会社が好きでたまらない70歳代後半の医師がいる。もう数十年にわたり同じディーラーからご夫婦で車を買っている。これはその方から聞いた摩訶不思議の話である。
その医師は人生最後の車を買おうといつものディーラーを訪れた。最後だから良い車にしたいと大枚はたいた。但し雪国であるので4WDが必須であった。ご本人曰くそれはちゃんと伝えていたという。
その雪がついに降った。スタッドレスタイヤには変えていた。ところが少し強めの坂道をあがったら、いや上がろうとしたら、どうしてもスタッグして上がれない。その後なんとか脱出してディーラーにすぐに向かったという。そこで判明したのは、買った車が4WDのつもりがFRであったというのだ。
私ならば引っ込んだろう。ノミのような心臓だから。しかしその医師は違った。「4WDのつもりで買った!どうしてくれる!!!」と怒鳴り込んだという。そのディーラーにとっても歴史に残るクレームであったろう。
私はこの話をその医師から聞いたとき、大笑いして聞き返した。「で、どうにもできなかったんでしょ?」と。
すると、あっけらかんとその医師は答えた。「いや80万円で4WDにしたもらった。」
その時、運転手さん(私とその医師を駅から病院まで運んでくれる担当事務員)と私がそろって「ええええええ!?」と叫んでいた。
そうか。80万円でFRを4WDに改造してもらったんだ。いや違うだろう。数十年夫婦が通ったディーラーだ。やはり発言力が違うのだろう。
想像だが、実際はまだ買って間もないのでリセールバリューが高めのうちに売り抜き、恐らくディーラーでもいくらか負担して、新車で4WDを売ることにしたのだろう。
まあ、ごねるときはごねるべきである。今回で言えば確かに4WDで押していたというのならば。
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