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漢方医学

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処方から読み解く心包の「代受」:大瀉心湯と小補心湯の戦略

心包の「代受」は、単なる理論ではなく、具体的な薬物構成の中にその治療戦略として落とし込まれている。邪気を代わって受ける心包の病態は、熱の極致(実証)と気血の虚弱(虚証)の二極に現れ、それぞれに大瀉心湯と小補心湯(心包)という対照的な処方が用...
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「心包代受」の語句に揺れる『輔行訣』探求のモチベーション

『輔行訣蔵腑用薬法要』(以下、『輔行訣』)の精読を深めるうち、心包に関する記述で一つの大きな疑問に直面し、探求へのモチベーションが揺らいでいた。それは、心包の病態を解説する条文に付随する、以下の引用である。「経云: 諸邪在心者, 皆心胞代受...
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『輔行訣』心と心包の相違

古典医学書『輔行訣』において、「心」と「心包」の病態は明確に区別されている。これらは単に解剖学的な違いではなく、病の発生源、性質、そして治療法という観点から、その本質が異なっているのである。1. 「心」の疾患の焦点:機能の詰まりとエネルギー...
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【経方医学】ある日「胸」から「脳」に棒が出た

経方医学では、各臓腑が独自の器官構造のもとにあり、それらの関連性を示すため矢印が引かれている。胸膈(きょうかく)や心下、その周辺には肺、心、心包、下方には胃などが配置され、その配置はしばしば「UFO図」などと形容される。私が(師)の講義を聴...
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補心(包)方は必ずしも補剤にあらず

1. 序論:動悸・不安の根源は「心包の虚」と「胃気の乱れ」にあり現代の臨床において、自律神経失調症や不安神経症に起因する動悸(怔忡)、虚煩(胸中のざわつき)、善悲(不安感)といった心神の動揺は、極めて頻繁に見られる病態である。これらは単なる...
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引落打の杖の軌跡に思う

先日の、杖道を居合術のような気持ちで見直す話の続きである。数ある構えの中で、引落打の構えほど、対太刀戦で絶望的な構えはない。本手の構えや逆手の構えはまだ、太刀が守備範囲に入らないようにしている。しかしこの引落の構えは、切ってくれと言わんばか...
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少しまた痛くなったけど

先日紹介した、左坐骨神経痛(たぶん)の患者が、2日後に再び受診した。「施術後、ぐっすり眠れてよかった」 とのこと。しかし、 「翌日、24時間経った後、少しまた痛くなった」 そうである。「だが、ちゃんと休めるから嬉しい」 とも話していた。再び...
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眠れぬ痛みに耐えかねた左坐骨神経痛

不眠、倦怠感で患者が受診した。下肢が痛むため、当院、そして他院の整形外科も受診していた。 下肢が痛むので臥位(仰向け状態のこと)になれず、座って寝ていたという。その結果、不眠と倦怠感が出現。さらに、ずっと座って寝ているため尻が痛くなり、訳が...
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昇陥湯を導入した膀胱刺激症状、倦怠感の症例その後

先週紹介した、倦怠感と膀胱刺激症状を呈する患者さんである。  以前報告したとおり、西洋医学的に泌尿器科と連携して治療を進めていたが、症状は小康状態を保つも著効とは言えなかった。そのような中、その症状が大まかに昇陥湯の証であることに気づいた。...
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范志良版輔行訣心臓病の心包実証解説

以下は范志良版輔行訣の心、心包臓病の心包における病機条文と配薬、そして経方医学的な方意解説である。心包の病機・心包実証の条文と配薬(原文)心胞气实者,受外邪之动也。则胸胁支满,心中澹澹然大动,面赤目黄,喜笑不休,或吐衄血。虚则血气少,善悲,...