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漢方医学

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補心(包)方は必ずしも補剤にあらず

1. 序論:動悸・不安の根源は「心包の虚」と「胃気の乱れ」にあり現代の臨床において、自律神経失調症や不安神経症に起因する動悸(怔忡)、虚煩(胸中のざわつき)、善悲(不安感)といった心神の動揺は、極めて頻繁に見られる病態である。これらは単なる...
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引落打の杖の軌跡に思う

先日の、杖道を居合術のような気持ちで見直す話の続きである。数ある構えの中で、引落打の構えほど、対太刀戦で絶望的な構えはない。本手の構えや逆手の構えはまだ、太刀が守備範囲に入らないようにしている。しかしこの引落の構えは、切ってくれと言わんばか...
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少しまた痛くなったけど

先日紹介した、左坐骨神経痛(たぶん)の患者が、2日後に再び受診した。「施術後、ぐっすり眠れてよかった」 とのこと。しかし、 「翌日、24時間経った後、少しまた痛くなった」 そうである。「だが、ちゃんと休めるから嬉しい」 とも話していた。再び...
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眠れぬ痛みに耐えかねた左坐骨神経痛

不眠、倦怠感で患者が受診した。下肢が痛むため、当院、そして他院の整形外科も受診していた。 下肢が痛むので臥位(仰向け状態のこと)になれず、座って寝ていたという。その結果、不眠と倦怠感が出現。さらに、ずっと座って寝ているため尻が痛くなり、訳が...
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昇陥湯を導入した膀胱刺激症状、倦怠感の症例その後

先週紹介した、倦怠感と膀胱刺激症状を呈する患者さんである。  以前報告したとおり、西洋医学的に泌尿器科と連携して治療を進めていたが、症状は小康状態を保つも著効とは言えなかった。そのような中、その症状が大まかに昇陥湯の証であることに気づいた。...
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范志良版輔行訣心臓病の心包実証解説

以下は范志良版輔行訣の心、心包臓病の心包における病機条文と配薬、そして経方医学的な方意解説である。心包の病機・心包実証の条文と配薬(原文)心胞气实者,受外邪之动也。则胸胁支满,心中澹澹然大动,面赤目黄,喜笑不休,或吐衄血。虚则血气少,善悲,...
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輔行訣における心痛を治す二大処方:胸気を失った心包絡と病理の部位

『范志良版輔行訣』に記載される「小補心湯」と「大補心湯」は、いずれも心臓の激しい病態である胸痹(きょうひ)を治療対象である。経方医学の見地では、両処方の構成薬物を比較することで、病理が集中する部位と邪気の性質(痰か飲か)に明確な違いが認めら...
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歯ブラシマニアを襲った激痛!立効散エキスでまさかの「歯茎の腫れ」が引いた話

お疲れ様です!自他ともに認める歯ブラシマニア、そして「意識が高い」と歯科医におだてられ、天狗になりかけた男がお送りします。磨き残しゼロを目指す男、まさかの失態私は磨き残しという言葉を聞くと背筋が凍る男である。私は自他ともに認める歯ブラシマニ...
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輔行訣心臓病の「心」と「心包」の各病機

先に示したとおり、范志良版『輔行訣』の心臓病ではちょっとおかしいなと思えることがる。 それはなにか。同じ方剤名でことなる配薬が登場するのだ。 配薬、適応症状から類推すると『輔行訣』 は、心臓に関わる病を「心」と「心包」とに明確に区別して治療...
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AIと共に『輔行訣』の森を歩む

古典医学の探究は、深く、広大な森を歩むのに似ている。一つのテーマを掘り下げれば、また新たな道が拓けていくのである。現在、私は范志良版『輔行訣』における「肝病」に関する考察を終え、次のテーマである「心臓病」の執筆へと歩を進めている。この道のり...